Over the last decade, as GM became more like Toyota, Toyota became a little bit like GM. In 2008, it took over the title from GM of the world's largest automaker. But Toyota executives now say the company did this by making one of GM's old mistakes-- stressing quantity over quality.
この十年で GM はますますトヨタのようになり、トヨタはちょっと GM みたいになった。トヨタは2008年に世界最大の自動車メーカーのタイトルを GM から奪った。しかし、トヨタの執行部たちは、今では自らの会社が GM のやった昔の過ちの一つを犯したと言っている、それは「品質よりも量を重視すること」。
これは「This American Life」の Podcast 7月20日配信「NUMMI 2015」から。このサイトが配信する Podcast を初めて聞いたが、とても聞き取れる速さではない。ただ、トランスクリプトが公開されているので、その内容は理解できた。約一時間の番組だが、内容が素晴らしい。今のところ、何気に聴き始めたこの回だけだが、他の記事も十分に期待できる。
日本メディアを悲観視
記事について書く前に、This American Life をこのブログで初めて取り上げるに当たって、どうしても触れておきたいことがある。
今年の6月末から、英語学習で日本の情報を使うのをやめて以来、海外発の素材を利用している。おかげで数多くの良質なものに出会えている、特に Podcast の素材は素晴らしい。「This American Life」の他にも購読している Podcast については今後紹介したい。
日本発の素材で、こんな上質なものを無料で利用できるだろうか? 有料であっても、ここまでの質のものを提供できているのかも疑問だ。ある日本の大手メディアのネット記事を「無料の範囲内で月数本」読んでいるが、「調査報道」にはほど遠い記事。そんなものにお金を払う気には到底なれない。
「新聞や雑誌離れ」の原因をインターネットにするのではなく、記事の「質」を考え直すべきだろう。ネット情報の方が量においても伝達速度の面においても、旧態依然の新聞雑誌が勝ることはない。
彼らは、日本のジャーナリズムに欠落しているものに気づいていないのだろうか? もしくは気づいていたとし、変えない/変えられない理由があるのだろうか? そんなことは読者のニーズとは全く無関係なのに...。
ここで記した GM 同様に、今だに変化できない日本の大手メディアが崩壊するとは思えない。というのも、国内だけに向けた発信をしている意味では「国内の庇護の下」にあるのが日本のメディア。その状況が変わるには、受け手側から「NO」を示すしかない。GM のクルマを買わなくなったように...。
米国自動車産業終焉の象徴「NUMMI」
NUMMI(New United Motor Manufacturing, Inc., ヌーミ)とは
1980年代に発生したいわゆる日米貿易摩擦により、日本からの対米自動車輸出がこれ以上増加すれば、政治問題化して米国が日本からの輸入規制を実施する可能性があった。そこで日本の自動車産業界から、米国内に工場を設置することによって政治問題化するを避けるべきだ、との声があがった。
この要請に応じたトヨタは、米国自動車企業のパートナー選びを行ったが、GM 社を選択した。トヨタは GM 社が持つアメリカでの製造・販売のノウハウを、他方 GM 社にとってはトヨタが採用している生産方式である「かんばん方式」をそれぞれ学ぶことを目指すこととなった。
Wikipedia
自動車産業については詳しくないが、GM を含む「ビッグスリー」のことは知っている。そして、それらの企業がことごとく日本の自動車メーカーに惨敗したことも。アメリカのクルマには魅力を感じていないが(トヨタ車もしかり)、その理由は「欧州車の方がカッコ良い」から。まぁ、好みの問題です。
そんな好みの問題は抜きに、この記事で明らかになる「GM 崩壊の過程」から垣間見える「GM の経営」も私が嫌悪するものではある。それは「顧客のニーズを優先しない」ということ。GM 崩壊後の今だから言えることでもあるが、この記事が明らかにしているのは、NUMMIの経験があった GM が、何度もあった再建のチャンスを生かさなかったこと。
その結果「GM の崩壊」に至ったのは言うまでもない。先ずは「GM とは」を Wikipedia からの冒頭を引用する。
ゼネラルモーターズ(General Motors Company, LLC)は、アメリカ合衆国の自動車メーカーである。本社はミシガン州デトロイト。略称は「GM」。2009年6月1日に連邦倒産法第11章の適用を申請し国有化された。2013年12月9日にアメリカ合衆国財務省が保有する GM の株式を全て売却し国有化が終了した。
この記事を読んで、GM 倒産の理由を3点に絞ると
- GM という「過去の栄光」ゆえのプライド(驕り)
- いびつな労働組合の存在
- 上記二つに共通する既得権益
本記事は、主に NUMMI に関わった人のインタビューが多く、彼らは日本式の導入を目指していた。残念なのは、GM 倒産に加担したであろう人たちの証言は少ない。まぁ、自らの過ちを語りたくないのも分かるので仕方がない。結局は倒産したのだから、彼らの判断は間違いであったと言うしかない。
それでも本記事は、良質なドキュメンタリーで、某TV番組「***スペシャル」以上の出来栄えだ。「映像よりも、文章の方が情報量は多いのでは?」と近頃考えている。
歴史に学ぶ「アメ車」
以下、記事の興味深い箇所を引用して、私なりのコメントを付けた。
This was one of the biggest differences between Fremont and Van Nuys. Van Nuys hadn't been shut down. Turns out it's a lot easier to get workers to change if they've lost their jobs, and then you offer them back. Without that, many union members just saw the Toyota system as a threat.
Fremont は NUMMI のことで、日本式の自動車製造を実施していた。対して Van Nuys は従来の GM 方式を続けていた工場。Fremont は一度倒産して、NUMMI で復活した。日本式の受け入れを拒んだ Van Nuys との違いは、過去に「倒産したかしないか」の違いで、つまり 真に追い詰められたことがあるか否か の違い。
And they had a point. Under the Japanese system, Van Nuys stood to lose a fourth of its workforce, because the more efficient a plant becomes, the fewer workers it needs. And just as bad, the team concept hurt their seniority rights. This had been a problem for union members back at NUMMI also.
労働者組合や現場の日本式への反対理由は「効率性重視では既得権益が脅かされる」ため。「チームコンセプトが上司の権利を脅かす」という発想。
At Van Nuys, it wasn't just union members who resisted the Japanese system. Managers were against it too. Like the union members, they didn't want change. There were things they liked about the old system. It gave them privileges and perks they'd now be losing.
工場の現場だけが日本式を反対したのではなく、管理職も同様だった。「従来の古いシステム」からの脱却を拒んだのだ。
For instance, some managers opposed the idea of stopping the assembly line, because their bonuses depended on the number of cars that rolled off the line. Never mind how many defects they had. And now that workers and managers were supposed to be a team, executives and workers would share the same cafeteria and same parking lot, as equals. Managers at NUMMI didn't have a problem with that, but the managers at Van Nuys?
管理職の「インセンティブ」が、質よりも量の成果にあったという驚くべき事実は、今だに印象としてある「質の悪いアメ車」の実態を思い出す。
So people fought the new system from both sides. Managers gave Ernie grief, and a dissident faction sprang up in the local union, which elected a staunch opponent of the Japanese system as their chairman.
日本式に反対派の議長を担ぐという、どこの国でもありそうな「政治」ですね。
結局のところ、GM には自分たちが作る「クルマの質を改善 = 消費者ニーズの尊重」という発想がなかったのだ。自らの保身しか考えていなかった。「日米貿易摩擦」という言葉が、メディアでも飛び交ったが、米国企業が企業として「負けた」という報道はあまりなかったように思う。実際に背景にあったのは、色々な意味で「負けていた」のだ。
Those exact numbers? GM went from 47% of the US market in the mid-1970s to 35% a decade later. One reason car execs were in denial was Detroit's insular culture. Yes, unions and management were always at each other's throats, and yes, GM and its suppliers had a destructive relationship that seemed to almost discourage quality. But everyone had settled into comfortable roles in this dysfunctional system and learned to live with it. And in the late 1980s, with their market share in freefall, Jeffrey Liker says they were more apt to blame others than themselves.
1970年代に米国での GM シェアが 47 %、その10年後に 12 %減の 35 %、「この時点で気付けよな」とは、今だから言えることかもしれないが...。
I worked with all the big three, at the time, automakers, and it was common in all three automakers. They all believed that if the consumers think we have quality problems, it's because Consumer Reports is misleading them, and they're biased toward Toyota. They all believed that Consumer Reports was against them-- that there was somewhat of a myth of Japanese quality.
Consumer Reports さえも「トヨタ贔屓」と無視する体たらく。さらに「日本の品質は神話」とするように、「ビッグスリーの驕り」があったことが分かる。
舵を切れない「タイタニック号」
Rapidly by GM standards, which wasn't nearly rapidly enough. Jack Smith declined to talk to me for this story, but he told a reporter a few years ago, "I just wish it had happened a lot faster than it did." Pick your nautical cliche. Reforming General Motors was like turning around a battleship, one manager said. Another compared it to steering the Titanic with a canoe paddle. Jeffrey Liker says the cultural gap between NUMMI and the rest of GM was so vast that even with clear marching orders to change, some of the people running the company didn't know where to begin.
「タイタニック号をカヌーの櫂で漕ぐようなもの」とは、当時の巨大なGMを変えられない様を的確に表している。
もう20年以上間のこの GM の出来事だが、昨今の東芝の「不適切会計」(「粉飾決算」や「不正会計」て報じられていないようだが...)など、大企業の体たらくは日本でも今だに発生している。東芝と GM の件は異なるが、根底にある「過ち」は同じ(東芝の方が「ルール違反」という意味で重罪とは思う)。顧客を見据たサービスや製品を開発できなければ、大企業であろうと、市場から退出しないと「健全な新しい血」が入らない、不健全な市場になってしまう。
The first round of changes put andon cords and Japanese-style inventory control into the GM plants, but there was no change in the culture. Workers and managers continued their old antagonistic ways. In some of the factories where they installed the andon cord, workers got yelled at when they pulled it. A few plants even cut the cords down.
トヨタ式で有名な「行灯(あんどん)」を導入した GM であったが、現場では浸透せずに撤去される始末。日本式の導入が成功した NUMMI では、それまでの GM の文化を覆して、日本式をチームワークも含めた「文化」から導入した。他の GM の工場に、付け焼き刃式に導入しても無理があったのは容易に想像できる。
「企業文化」はどの企業にもある。「法人」とは言い得て妙で「企業も人」なのだ。あの時点の GM が、トヨタに変貌できるわけはないのだ。少なくとも、NUMMI での成功直後に、GM 文化を変える動きをしていたら、倒産することはなかったかもしれない。
Lots of people in GM still didn't see the need to change. By the late 1990s, the company was posting huge profits selling trucks and SUVs, which made the loss in market share seem less urgent. To make real progress, managers had to leave the United States. One overhauled GM Germany.
1990年代に GM の利益が一時的に向上した、所謂「インターネットバブル」のおかげ。その時に GM が売ったのがトラックや SUV という「無駄に燃費が悪いクルマ」という事実は、「やっぱり GM やね」と笑ってしまう(「やっぱアメリカ人やね」の方が適切か?)。
GM が連邦破産法を申請したのが2009年6月1日、その原因は言うまでもなく、2008年9月の世界金融危機(「リーマン・ショック」は日本だけの表記で、誤解を与える表記だと思う。リーマンブラザーズの破綻が主な原因ではない)。
Well, one of the ironies of GM was that in the moment it went bankrupt, it was probably a better company than it had ever been.
「破産のその時になって、GM がそれまでになく優良企業になっていた」という皮肉については、ぜひ本文を読んでみて下さい。
Definitely. I think if General Motors had moved in the late '80s to implement the system across the board, it may very well have saved GM from going into bankruptcy.
この記事でも「GMは倒産を免れたかもしれない」と。GM 再建にアメリカ国民の血税が使われたことを考えると、巨大企業の放漫経営の罪は重い。
Since 2010, the NUMMI plant in Fremont has become symbolic of what's happening in the American car industry in a different way. It's now where they make the Tesla.
NUMMIの工場が「米国自動車産業の象徴」となっている。歴史の視点に立って、はじめて「象徴」が見えるものだ。
歴史に学ぶ
「歴史に学ぶ」ことは多い。この記事を読みながら、ずっと考えていたことはそんなこと。ところが、昨今の出来事から、人は「歴史から学ばない」と思ってしまう。嘗てないほどにテクノロジーの発展は急速で、むしろ「過去を振り返る」行為が軽んじられているように思うのは気のせいだろうか。
このブログで「ロボットに置き換わる仕事」という考えを度々書いている。このテーマで多くの本や情報に触れるたびに、その思いを確信している。医者を始めとする、現在では「専門家」と呼ばれる分野の方々から、自分の仕事は「ロボットに置き換わらない」という意見は、当然のように耳にする。
「ロボットによる判断が専門家のより上」を証明するデータは既に数多くある。そんな現状を知っていても「ロボットを否定」という態度は「消費者無視」の態度と、今後は益々見なされていくと思う。 GM が相も変わらず、燃費の悪い巨大なクルマばかりを作って、時代の変化(消費者ニーズの変化)を大局的には見誤っていたことと、「ロボット無視」という構図が重なってしまう。
「テクノロジーの変化」は「消費者ニーズの変化」となるのは、歴史が証明している。正確な未来予測は不可能だが、膨大にある歴史のデータを紐解けば、自ずと未来に向けてやるべきことは見えてくるはずなのに。
「歴史に多くを学べる」のだが、「歴史に学ばない人が多くいる」ようだ。Hegel の言葉を、私はそのように解釈した。
The only thing we learn from history is that we learn nothing from history.




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