2017年8月24日木曜日

陽気なギャングが地球を回す

著者:伊坂幸太郎
発行:2010年8月15日文庫版第49刷(2006年2月初版)


陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)
伊坂 幸太郎
祥伝社
売り上げランキング: 8,727

ラッシュライフ に続く著者の第三作。著者の本は、今回のように中盤から一気読みしてしまうことが多い。それが著者の「上手さ」なのだろう。

物事を断定するのにはそれなりの覚悟と決断力が必要で、しかもその二つとも日本人の大半がなくしてしまったものだった。P.77

これ、前後の文脈がなければ、単に「日本批判」。ここでは、それを逆手に取って銀行強盗をする。

次も文脈を無視して読むと、かなり興味深い考察ができる:
けれど、反対を表明すれば、自分自身が攻撃の標的とされるのは分かっていた。「敵を庇う者も敵だ」という理屈は大国の大統領が堂々と口にするくらいなのだから、中学生が同じことを考えるのはおかしくはないだろう。P.172

これは中学生のいじめに関するもの。私の認識では、学校のいじめを批判するのと同じロジックで、大国同士の争いをニュースやらで論じるのを聞いたことがない。

おそらく、何らかの評論家さん(軍事評論家?国際政治学者?などなど)にとっては、「学校のいじめとは次元が違う」という認識なのだろう。でも、子供に分かるようにその次元の違いを、彼らは説明できるだろうか?「世界の戦争や紛争は、学校のいじめと根本的には同じで、...」との説明の方が説得力を感じるのは、気のせいか?

次も、「日本社会」の一面を見る感じだ:
「先輩面した不良だ!」久遠が愉快そうに言った。「不良というのは本来はさ、秩序から外れたくて、なるものなのに、結局別の秩序に組み込まれるんだ。妙だよね。行列をつくるパンクロックと一緒でさ、矛盾だよ。列を作るパンクなんて!上下関係を気にする不良なんて!」P.176

映画化されてると知った。

陽気なギャングが地球を回す プレミアム・エディション [DVD]
ジェネオン エンタテインメント (2006-10-25)
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が、キャステイングから「つまらなさそうだ」と瞬時に思った。実際、面白いという批評は一個も見当たらない。

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