2009年11月22日日曜日

世界最速のインディアン

夢を追いかけない人間は、野菜と同じだ

Anthony Hopkins演じるバート・マンロー(Herbert James Munro)の台詞である。

福岡在住の頃、公開期間終了の前日に観た。

この作品はオートバイ映画というよりもロードムービーだと思う。しかも上質のロードムービーである。ロードムービーが好きとしては、「パリテキサス」「ダウンバイロー」「バグダッドカフェ」らに匹敵する映画だ。

こういうバイクで飛ばす時の5分間は
つまらん一生に勝る
一生が凝縮された5分間だ

バイクに限ったことではない。人生の醍醐味は、やってきたことの成果としてある一瞬、ごく短い時間にしか感じられないものかもしれない。

危険が人生に味をつける
リスクを恐れてはいかん
でないと生きている意味がない

私自身は 200km/h 超えて走ること自体を目的にはしていない。その速さの感覚に追随できている自分自身を確認しているだけ。哲学的?には「死を理解してから生を知る」ということかもしれない。主人公バートもそうかもしれない。

「リスク risk =危険」という翻訳で誤解されやすい「リスク」という単語。恐らくリスクに相当する日本語は存在しない。つまり、日本には「リスク」という概念が無かったということになる。私が理解する「危険とリスクの関係」は、これ

危険を取るほど私は無謀ではないが
リスクを取る勇気は持っているつもりだ

に集約している。私自身の言葉なので、辞書的には間違っているかもしれない。

老齢の主人公を取り巻く人々が優しいのである。主人公の人柄が優しくさせているのかもしれない。とにかく皆が優しいのである。主人公が発する磁力に皆が惹きつけられるように。バイクには全く興味がない彼女と一緒に観たのだが「良い映画だったねぇ~」と観終わった後に泣いていた。

上映中、いつまでも続いて欲しいと思って観ていた作品。福岡を発つ決心に一役買った作品でもある。

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