2009年12月29日火曜日

龍は眠る (1991 宮部みゆき)

初版1991年2月

ある小説を、読んでいないつもりで読み始めたことはない。しかしこの小説は例外。

龍は眠る (新潮文庫)
龍は眠る (新潮文庫)
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宮部 みゆき
新潮社
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読み初めた数分で「これは読んだわ」と気づいた。しかし、どうしても「どんなストーリーだったのか」が思い出せない。それを知りたくなるほどに面白い小説だった。読んだ当時は、宮部作品ばかり読んでいた(「火車」「模倣犯」など)ために雑に読んでいたのだろう。

二人の超能力を持つ少年を中心に話が展開する推理小説というよりサスペンス小説。と、こう書くと「ふぅん」という程度だが、そこは宮部ワールド、人間描写が相変わらず良い。

人間や物体に内在する「心」が読める特殊能力を持つ人間は幸福なのか?本書で登場する七恵という、聴こえるが話せない障害者が、超能力者より不幸だとは思えない。健常者(嫌な言葉です...)が幸福であるとは限らないように、超能力という「万人には持ち得ない能力」を持つものの苦悩も大きい...

本編のサスペンスの本流とは異なるこんなことにも思いを巡らせることができる本書はやはり面白い。そもそもサスペンスや事件そのものが面白いということはあるのだろうか?あったとしても稀だと思う。その事件を生み出す人間ドラマが面白いのである。

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