白石一文 著
2009年1月26日 第一刷
このブログサービスのあるブログで紹介されていて読んでみることにした。この著者は知らなかったし、勿論著書も読んだことはなかった。
白石 一文
講談社
売り上げランキング: 280,360
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貧困、格差社会、それを生み出した現代の思想や価値観の背景を、様々な資料や一般文学からの引用(かなり長い引用も多い)を多用したり、世俗的な話題を取り上げて炙り出している。とはいっても、本書はフィクションであるので、ジャーナリストである主人公の物語の経過と共にこれらの問題が取り上げられている。
極論的な主張も多い。例えば
日々貧困で死んでいく子どもがいる
億を超える報酬を受け取っている連中は
その富の一部を貧困救済に向けるべきだ
「論理的に考えるとそれほど極論ではないのかもしれない」、と思わせるような主張があるのも本書の魅力かもしれない。
しかしながら、この貧困や格差問題は「(単純な)富の配分」だけで片がつく、という単純なものでもないと私は思う。本書でもこれが解決策とは主張していないし、そもそも貧困・格差社会の表層的な問題だけで、解決を見出そうとしている訳ではない。
私も深く賛同するが、問題の表層だけで四の五の言うのは無意味だと思う。例えば、貧困者にお金を与えれば解決する、という訳ではないはずだ。その原因となるものを広く深く掘り下げて、そこにあるものに対して手を打たなければ真の解決は望めないと思う。
真の解決...?
書きながら自己矛盾になってきた私...。そもそも「真の解決」て何だ?解決して何処に向かおうとしているのか?どんな状況を目指しているのか?
本書では貧困・格差だけではなく、夫婦、オトコ、オンナ、生きること、死ぬこと、といった身近な中に潜む深い疑問にも大きな焦点が当てられている。敢えてざっくりと本書を表すならば
うんちく祭り絶賛開催中
この「うんちく」を批判的に捉えるか、フムフムと肯定的に捉えるかで本書の好みは分かれそうに思える。私は後者です。かといって、本書が自分の「お気に入りの本」になるかといえばそうではない。そこのところがビ・ミ・ョ・ウ....。抽象的だが、表現すると次のようになる。
この本の表紙の女性(女の子?)の絵のように
絶対的に可愛げは無い
でもどこか魅力的で気になる存在
とはいうものの、本書は面白く読めたし、この著者の別の本も読みたくなったので私としては大満足です。
白石 一文
講談社
売り上げランキング: 438,603
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