2006年4月15日 第一刷
「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」に続く神経科医師 伊良部一郎のお話。
三冊の中では一番面白かったかもしれない。全部面白いのだが、今回は長編?もあり、なかなか読み応えもあった。読み応えといっても、一気に読ませるストーリー展開と随所にあるユーモアはこの著者の特徴かもしれない。
他の著書では「マドンナ」を読んだが、社会のありそうな出来事を題材にして、楽しくストーリーを展開するのが著者だと思う。登場人物のキャラクター設定や描写やうまいのも特徴。著者は、ユーモアで現実社会の問題や課題を軽快に描写して読ませる著者のベスト3には入れたい。
すべてが完全にフィクションではあるが、そこに真実も十分に読み取れる。例えば「オーナー」でマスコミの煽り方などリアルに感じる。モデルになった方の思想が実際にそうだとは思わないが、そう考えると彼の行動に納得がいくことも大いにある。
伊良部シリーズはこれで三冊目だが、今回初めて「本当に伊良部から診察されている」という感覚を持った(私自身は決して病んでいる訳ではないですよ~^^)。患者の悩みは可笑しくはあるが、実在する可能性は否定できず、それに対する伊良部の対処は理にかなっているように感じる。
そして何より良いのは、結末がハッピーエンド。最初は嫌らしいと思っていた患者ですら、愛おしく思える。今回はあの無愛想なマユミちゃんまで優しく思えた、ギターまで弾くし... ^^;
0 件のコメント:
コメントを投稿