2010年7月18日日曜日

お茶漬けの味 (1952 JPN Movie)

1952年日本映画 小津安二郎監督

2003年だったと思う、小津安二郎生誕100周年ということで、BSで全小津作品が放送された。その多くをVHSのテープに録画した。それが私の最初の小津安二郎作品との出会いだった。

当時私は30代前半、ガキの頃からまぁまぁ多くの映画を観てきたが、その大半は洋画だった。既にハリウッド的な作品よりもヨーロッパ的な、そしてヒューマンドラマを好んでいた。ずっと以前から小津作品のことは知っていたが、断片の映像や記事を読む限りではその評価ほどに魅力を感じなかった。その頃は20代、つまりまだまだ小津作品を理解するには経験不足、若造だったのです。

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小津安二郎作品は日本人の想像以上に、海外で高く評価されていると思う。世界的な映画ランキングでは黒澤明と並び常に上位にランキングされる。小津を敬愛する世界的な監督は数多い。

この海外での高い評価については、それを知った頃は全く理解できなかった。というのも、小津作品はどう控えめに評価しても「古き日本の姿」の印象は強い。と、ここで気づいたのだが、「古き日本の姿」であって「古き良き日本の姿」ではないところがポイントかもしれない。

「良いも悪いもない」のである。「古いも新しいもない」のである。そこにはあるのは普遍的な現実なのかもしれない。小津作品に「日本特有なもの」を示せといわれても難しい。鎧もカブトも忍者もサムライも登場しない。敢えて挙げれば、日本的家屋と、食卓のちゃぶ台

このブログで初めて小津について書いたせいか、少々前置きが長くなった。

本作「お茶漬けの味」は、先のBS放送で録画に失敗して観ていなかった。タイトルからずっと惹かれるものがあって、観るのを楽しみにしていた。

5年ぶりぐらいに観る小津作品である。DVDビデオを大画面の液晶デジタルテレビで観る小津作品は、やはり何も変わらない素晴らしい小津作品だった。ハラハラドキドキすることもなく、淡々と見入ってしまう2時間、小津マジックとしか言いようがない。

と、ここで評価は終わりたい(笑) 小津作品の良し悪しを語る言葉を私は持たない。まだまだ経験が足らないようです... 若造?

一つ思ったのが、黒澤作品は大画面デジタルテレビで更に映えるが、小さなブラウン管モニターでも楽しめるのが小津作品なのかもしれない。そんなところも、時代に流されない小津作品の魅力だと思う。

私もあんな風にお茶漬けが食べたいね。

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