著者の作品は、伊良部シリーズの「空中ブランコ」「イン・ザ・プール」「町長選挙」、そして「マドンナ」を読んだ。全くのフィクションでありながら、奇抜な中にもリアリティのあるストーリーが秀逸、笑いも多い。
彼ら三人は、別段特殊な能力や性格の持ち主ではなく、この社会に少なからず存在する人たち。50歳前の従業員二人の鉄工所の社長、大手都銀の若い窓口OL、パチンコとカツアゲで生計を立てている二十歳のオトコ、この三人である。普通に考えても、交流することはあり得ない三人。
この三人が徐々に「最悪」へ向かう事態に直面しながら、そのピークで出会うのである。
本書は600ページ余りある、著者の今までの作品の中ではかなり長編ではあるが、出張の往復で一気に読んでしまわせるストーリーというか、三人の描写は上手い。三人が次第に大きくなる苦悩や逆境には少なからず同情しながらも、興味深く読んでしまう。「最悪」の事態へと、人と人とのちょっとした関係性のもつれが積み重なっていく様は、ワクワクしながら読める。
結末はスカッとするハッピーエンドではないかもしれないが、心に沁みる納得できるもの。現実もそんなもんだし、その意味でも本書はリアリティという面でも極めて高い。
結末はスカッとするハッピーエンドではないかもしれないが、心に沁みる納得できるもの。現実もそんなもんだし、その意味でも本書はリアリティという面でも極めて高い。
人生ってこんなものかもしれないな
小さな出来事の
繰り返し積み重ね
そこから幸福も生まれ悲劇も生まれる
そしてどことなく可笑しい...
by Rinda
本作品は映画化されたとのことだが、あまり観たいとは思わない。大抵、面白い小説の映画化は期待外れになるもの。それは、小説の世界観を知ったものに、それを超える映像や音を提供するのは大抵不可能だから。
だから、僕は本を読むのかもしれない。僕だけの小説の世界を描写しながら。
だから、僕は本を読むのかもしれない。僕だけの小説の世界を描写しながら。
私もこの本、読みました。結構、はまりました。
返信削除「群像劇」て面白いです。ていうか、人生は群像劇そのものだったりして...。
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