2010年9月26日日曜日

浮き沈み阿蘇ツーリング:沈み編


こうやって眺めること2時間ほど...、待ち人ヒロシを待っているのです。

「動かない」(動かせない)バイクを一人眺めながら、色々なことを悶々と考える。
  • こうやってバイク乗りたちはバイク乗りを止めていくのだろうか?
  • DUCATIというバイクだから壊れやすいのか?
  • 今日は無理な走りをしたよなぁ、600km以上は走ってる、それが原因か?
こんな後ろ向きな気分だった。

疲れていると、寒くても眠気は来るんだという、登山者の心境も少し味わったりしつつ、待つ。

所詮モノでしかない我がDUCATI 999Sを一人じぃ~と眺めていると、いつの間にか弱気な気分は吹き飛んだ。我がドカは何も言うはずはないのだが、何かを言ってくれたように聴こえた。本当です...。

ここは金立SAの下り次の小城PA、金立SAから約10km。

金立から走行して直ぐに異常を感じた。回転数が4,000rpm強にならず、速度も120km/hで頭打ち、そもそもエンジン音が違う。「パパァンッ」と軽い破裂音のようなものが聞こえる。直ぐに思いついたのがプラグ不調で、「片肺走行」(エンジン二気筒のうち一気筒が動いていない)になっている可能性。プラグの「かぶり」を吹き飛ばすやり方は以前学んだが、高速道路走行中なので早めに駐車エリアを探す。そして、このパーキングエリアに到着。

エンジンをカラ吹かししてみると、サイレンサー口から炎が噴き出した!もう、この時点でビックリ。MotoGPでも観たことがある光景なので、「こんなこともあるさ」ともう一度やったが、更に炎が飛び出る。エンジン停止。何かが燃えた匂いが...。サイレンサーの中をのぞくとメラメラと何かが燃えてる(ように見えた)。このままバイクごと炎上してしまうかと、焦りはピークに達する。

後ほどヒロシの解説から思い返すと、炎はどちらかといえばガスに引火した青白い系の炎。ゴーゴー燃える類のものではなかった。

携帯電話(スマートフォン)の充電状況が心もとないが、DUCATIサポートセンターや購入したショップに電話をかけるも、色々な事情で状況は改善せず。迷惑をかけたくなくて躊躇したが、ヒロシにアドバイスを貰うことにした。ヒロシの最初の反応「あぁ、火吹いたね~!?」というようなもので、それを聞いて何故だが内心ホッとした。誰かに話せたのと、起こりえる出来事なんだ、という両面で安心したと思う。

ヒロシが駆けつけてくれることになった。

涼しさよりも寒さが感じられる中、一時間以上待つことになるのだが、そんな中でも心温まる出会いがあった。このPAに入ってから、一部始終を眺めていた親子(父と娘)がいた。ぱっと見にはPAの名前が無い場所で、ヒロシに場所を告げるときに困っていた時に教えてくれたのもこの親子。

私が一旦落ち着いた様子を見てなのか、バイクの前に茫然と座る風情を心配されたのか、こちらまで歩み寄って声を掛けて下さった。尋ねてみると、お父さんの方は昔の大型バイクライダーで、10回のチャレンジで合格されたツワモノさん。教習所での取得の僕は「カネで買った」ようなもんです。娘さんの方は、今は手放したそうですが400ccバイクライダーだったそうです。DUCATIモンスターなんて似合いそうな、笑顔が魅力的ですらっとした長身の方。

お父さんの方は、しゃがみ込んでバイクの足回りなどを眺めまわすなど、本当にバイク好きのようでした。「またがってみますか?」という誘いには、丁重にお断りされてしまいました。娘さんは「DUCATIですね、イタリアですもんね、綺麗ですねぇ」と終始ニコニコ笑顔でした。「阿蘇ですか?何泊されました?」の問いに「いえいえ、日帰りです」と答えるとビックリされてました ^^;

親子は、私がこれからどうするのか気がかりだったらしく、ヒロシとの連絡が取れなければ、バイクは別便で運んだとしても、私自身は送ろうとしていたようです。話の流れから、佐賀の人のようでした。幼馴染が来てくれる、と伝えると安心されてお帰りになりました。

終始手を握り合う、微笑ましい親子でした。何となく憧れる関係です。もう会えないのは承知だが、どこかでまた再会したい人たちでした。

こうやって我が自宅に、またしてもヒモでくくりつけられて到着。時間は深夜12:00近く。障害発生から5時間経過

結局、ヒロシがPAに到着後にエンジン始動したところ、難なく始動。しかし安全のためにトラック搬送した。ヒロシの原因解説にも何となく納得、とにかくショップの点検が必要なようだ。フロントフォークのオイル漏れも気になる。

トラブルの話もそこそこに、ヒロシとの話題の中心は阿蘇とライディング技術。

やっぱ阿蘇は行くたびに違うわ

は同じ感想。

阿蘇の道や見る景色、走り方、そして出会う人々は行くたびに違うし、益々深く魅力的になって行くように思う。ヒロシをはじめ、PAで出会った親子、阿蘇の多くのライダーたち、そして阿蘇に感謝したい気分。

沈むからこそ浮上する喜びは感じることができる。

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