2010年10月1日金曜日

マネーロンダリング

橘玲 著
2002年4月15日 第一刷

「いやぁ~面白かったぁ~」と口に出すことは無いが、じわぁ~と腹の底から高い満足感を得られる本。面白い小説は、その世界が鮮明な映像となりながら、登場人物が活き活きと動き出す。それはTVや映画とは違う「映像」、自分だけの「映像」世界。

そんな面白い本には時々しかめぐり会えないが、本書はそんな貴重な作品。

マネーロンダリング (幻冬舎文庫)
幻冬舎 (2012-12-14)
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これで約三週の間で、同じ著者の本を続けて三冊読んだことになった。そんなことは初めてだったが、手元にある数冊の本から、読みたい本をチョイスしたら自然にそうなっただけのこと。

そもそも著者との出会いは「臆病者のための株入門」だった訳だが、その本を選んだ理由は、著者が一般小説も書いているということ。その「株入門」の本の冒頭を読んですぐに、著者が単なる「金融のウンチク屋さん」ではないことは分かり、その思想や表現方法に共感した。

次に読んだのは「世界にひとつしかない黄金の人生設計」。普段から疑問に思っていたテーマを著者の表現で読んでみたかったから。この本を読んだおかげで、本書「マネーロンダリング」はフィクションでありながらも、そのリアルさを堪能できた。

本書は面白過ぎてその内容を表すことはできない。それを表すとすれば、かなり下世話で無意味な方法だと思うが、真山仁の「ハゲタカ」シリーズと比較してみる。「無人島に持って行くとしたらどちらを選ぶ?」という問いをたててみる。

好き嫌いという次元ではなく、どちらを選択するかということ。
「選べない、選ばない」のは何かの権利を放棄していると僕は考える。
そこには何の主張も無いし、成長もありません...。

答え   :「マネーロンダリング」
選考理由:より現実的だから

実際本書の発売の数年後に、日本の某暴力団がスイスの銀行を舞台に100億円のマネーロンダリング事件が発覚した。その「スキーム」(何故か金融関係ではこの言葉を使う...)は、本書で取り上げたものと同じだったという。著者は当時、その暴力団の「指南役でしょ」と言われたそうです。

スイス銀行と聞くと即座に思い出すのが「ゴルゴ13」の世界....。多分、現実世界が「ゴルゴの世界」よりもエキサイティングだったりすると思うな、僕は。

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