2010年10月24日日曜日

金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか

吉本佳生(よしもとよしお)著
2005年5月20日 初版

橘玲の著書を9月から続けて数冊読んで、その中に本書の記述があったのがきっかけで手に取った。多くの種類の金融商品の広告を題材に、具体的に良し悪しを評価するもの。大半が「悪」なのだが...。

本書を読めば、「はじめに」の章にある

金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか (光文社新書)
吉本 佳生
光文社
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銀行、証券会社、保険会社などの金融機関を歓楽街にある”風俗産業”と同じような商売のやり方をしていると思っておけば、おおむね正しいイメージでつきあうことができる

という指摘に納得します。

怪しげな金融機関ははなから容易に除外可能だとしても、大いに名の知れた金融機関が「風俗店」だということに、多くの人は気づいていないかもしれない。いわゆる「金融機関神話」は未だに健全だと思う。私自身もそうだった。「そうだった」と言えることが先ずは進歩だと喜びたい。

本書で取り上げられる金融広告は全て架空のものですが、確かに何処かで見たことがあるような内容で、「これどういう意味だろう」と不思議に思いながらも契約してしまった自分を大いに恥じた。しかも、これらの金融商品を購入しても「風俗産業」ほどには楽しくない、という変なオチに苦笑いしてしまう...。もともと「風俗産業」は楽しめない性質なので、もっと始末におえなかったりする...(泣)。

幸いなのはそれらが大きな痛手ではないこと、まだまだリカバリーできる年齢ということ。つくづく本書を読んで良かったと思う。

著者は決して金融機関を闇雲に非難している訳ではない。悪意のある広告は除いたとしても、むしろビジネスとしてその存在を容認している。そしてこのような広告や金融商品が無くなることも夢見ているが、著者のいうようにそれは夢物語でしょう。その原因は金融機関にない。「風俗店」が決して無くならないのと同じ原因です。

ちなにみ、本書の末尾に「この著者の本を読もう!」には、橘玲の名前がある。更には、私も評価している山崎元氏の名前もある。そう考えると、自分の思想やテイストはどこかで首尾一貫しているのだろうと確信した。そして、そのテイストはそれほど誤りではないことに自信も、ちょっとだけだがついた。

ずっと以前の頃、自分の職業選択の時に真っ先に除外した職業が金融機関だった。時はバブル崩壊直後、バブル経済やそれに浮かれる世の中をずっと嫌悪していた。今ならばその理由は言葉に出来るが、当時は感覚でしかなかった。職業選択に金融機関を除外した理由は、単に「お金のことを考えるのは好きじゃない、ましてや他人のお金などはもってのほかだ」、程度のことだった。むしろ「お金」に関わることから逃げていたのが正確な表現。

今は少し違う。「お金」から逃げられない資本主義経済の世の中を受け入れ、更には世界が以前より見渡せるようになった現在は、「お金」を通して物事を考えるのは色々な意味で有益だと考えられるようになった。「お金が全てではない」という単純過ぎる思想は、実は「後ろ向き」だったと思っている。

No Money No Freedom という言葉は意外と深いのであった。

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