2010年11月5日金曜日

My Blueberry Nights (2007 Movie)

2007年香港・フランス合作映画
監督:ウォン・カーウァイ
邦題:マイ・ブルーベリー・ナイツ
日本公開:2008年3月22日

劇場で一人で観なかった数少ない映画の一つであり、この映画を最後に劇場に行っていない。見た場所は福岡のとある複合施設内にある映画館、当時は京都に住んでいて、とある事情で福岡に来ていた。相方には退屈な映画だったようで、どうやら眠ったようである。映画後に食べた施設内にあるパスタ、博多明太子をふんだんに使ったパスタだったが、その味は今までに食べた最低のパスタだった。これほどまでに不味いパスタを作れることに感心したが、その後の二人のことを暗示する味だったとは今更ながら思わなくも無い...。

この映画監督とノラ・ジョーンズが主演というだけで観ることに決めた。ウォン・カーウァイ作品は未だに観れてないが、その映像センスの良さには惹かれていた。本作品でもそのセンスはふんだんに発揮されている。

映像センスに劣らず惹かれたのが音楽センス。後で知ったのだが、音楽担当はあの Ry Cooder (ライ・クーダー)だった。映画 Paris, Texas(パリ、テキサス)のサウンドを思い出して納得した。Ry Cooder を起用した監督のセンスに注目すべきだろう。

My Blueberry Nights
My Blueberry Nights
Various Artists
Blue Note Records (2007-11-08)
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そして今回再び観るきっかけになったのも映画のサントラCD。ジャジーなNorah Jones(ノラ・ジョーンズ) の曲も良いが、なんといってもこのCDのおかげで知った

Cat Power の The Greatest
Hello Stranger の The Devil's Highway

この二曲は何度も何度も聴いた。

京都の小路を職場から帰宅中に頻繁に聴いた。特に The Devil's Highway 

I am a poor wayfaring stranger

の歌詞から始まる唄い出しは何度聞いても震えた。それを聴きたいがために遠回りして帰宅したこともあった...。心が完全に病んでました...。

劇場で観ているときは、その音楽センスの良さは何となく感じていた。そして映画中盤で「あれ?この歌詞とメロディはもしかして...」と気づいた楽曲が Neil Young の Harvest Moon、女性のしっとりとしたボーカルで原曲以上に味わい深い。

それまでも、疲れている時、特に精神的に疲れている時には女性ボーカルの楽曲ばかりを聴く傾向にあったが、この当時ほどそれを強く感じたことはない。実際にそんな楽曲たちに助けられたと思っています。

このままでは、音楽の評価ばかりになってしまいそう...。

映画自体も良い映画と思う。映像と音楽の高いセンスが溶け合っている、という単純な評価では終われない魅力がある。役者ではないNorah Jones が、その演技に違和感を感じることがなかったのは、監督の力量と周りを固める役者の魅力のおかげ。周りの役者の中でNorah Jonesは、無垢でキュートなポジションで、すっかり映画に溶け込んでいる。

この映画は私の好きなロードムービーだと思う。なので、単なる恋愛映画を期待した方はがっかりするかもしれません。見知らぬ土地や見知らぬ人たちだからこそ、自分や他人が見えてくるものなのかもしれない。残念ながら、ブルーベリーパイのような甘酸っぱい夜ばかりではない。だからこそ、楽しいのでしょう。

サントラのCDを繰り返し聴いた後で観る本作品は、初回のときよりも楽しめた。楽曲が映画に与える影響も面白いなと思った。本作品がカーウァイ監督の初の英語作品とのことだがもっと作って欲しいと思う。

PS
今回、あっ!と思わず声を挙げたのは、ジュード・ローの(多分)昔の恋人役で数分ほど登場する役者は、Tom Waits の Bearskin でビリヤードプレーヤーを演じていた女優だったこと。Bearskin でも気に入っていた女優だったが、この映画では更に魅力的になってた。名前を調べようと、Bearskinの(今となっては貴重な)劇場パンフレットから、Charlotte Colemanと分かって喜んだのもつかの間、彼女は2001年11月に亡くなっていた。この映画2007年作品なので、彼女ではなかったということ... まぁ、いいや、私の中では同じ魅力的な女優として覚えておこう。

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