2010年3月25日第一刷
前作「亜玖夢博士の経済入門」の続編である。各章、次のようのなタイトルで物語りは進んでいく。
認知心理学、進化心理学、
超心理学、洗脳、人工生命
超心理学、洗脳、人工生命
科学の分野がこの何十年で急激な進歩を遂げていることは、その分野に精通していなくても分かる。例えば、複雑怪奇にも思える医療分野に限らず、身近な電気機器や調理器具ですら何がしかの進化の結果を感じることができる。科学の発展とひと言で片付けるのは乱暴過ぎるが、間違いではない。
文藝春秋 (2014-08-08)
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脳ミソを無くしたカエルや犬が、脳があった頃と同じ条件反射をすることが証明されている。これは脊髄で「感じている」ことを示す例で、脳ミソが無くても「意思」があることになる。更に、人間がヤカンのお湯の沸騰に気づいて(知覚して) 0.15秒 後に行動するが、その知覚する 0.35秒前に脳は行動する体勢に入っている。
つまり人間は、(1)脳や脊髄で無意識に反応して、(2)それに応じて身体が活動を始める、(3)そして意識によって行動を解釈している、ということになる。
ということは、「人知れず」科学の力で人間意識や行動をコントロールする可能性を考えてしまう。その実現性は、私の見解は今のところYESに近いNOだが、近い将来にはよりYESに近づくことになるでしょう。とはいえ、今のところ「科学の力」でというより、新興宗教、ネズミ講、情報統治(操作)、何とか系アイドル、等など「下等科学」でもって容易にマインドコントロールが達成しているように思われるのは気のせいだろうか?
マインドサイエンスをマッドサイエンス (Mad Science 直訳:「狂った科学」)と解釈される傾向もあるようだ。しかし私はマインドサイエンスの肯定派である。卑近な例では、「偽薬」の効果も心理学で説明可能だと考えるマインドサイエンスの一つでしょう。全てを科学が解明可能だとは思わないし、科学が解明しているのはごく一部にしか過ぎないと思う。それに、テクノロジーやサイエンスの分野において、肯定派否定派に分かれるのは今に始まったことではない。
本書でもっとも興味深かったのは「人間が猿より偉い」を主張できないという逸話。
アブラハム・マズローは、猿の中でもっとも厳しい階級社会をつくるアカゲザルの研究家でもあった。彼は後年、経営学と心理学を融合して名声を得た。そんな彼のもとに、名だたる大企業経営者が大金を支払って助言を聞きにきた。社内抗争に勝ち抜くための助言を聞きに。マズローが彼らに話しているのは猿の話であったが、それが猿の話であることは秘密にしていた。
まぁ、何をもって「偉い」と判断するかに拠るが、「人間て所詮そんなもんだ」と思わせる逸話です。
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