2011年1月15日土曜日

Black Rain

1989年アメリカ映画 リドリー・スコット監督
邦題 ブラック・レイン

エイリアン」「ブレードランナー」のリドリー・スコット作品で、彼の手にかかると大阪の街が「ブレードランナー」の世界になってしまう。後日談から、監督の予想以上に小奇麗な大阪だったようでかなりデフォルメされたようだが、作品としては素晴らしい。異国の監督ならではの表現だと思う。

そんな大阪を舞台にしたアメリカ映画、当時関西在住の大学生の私は、(多分)大阪の劇場でこれを観た。リドリー・スコット監督作品という点でも注目したが、それ以上に期待したのは松田優作、私が劇場に行った頃はもうこの世には居なくなっていた...。彼の存命中、これが最初で最後の劇場で観る松田優作の演技、その印象が大阪の描写以上に鮮明に残った。

ストーリー自体は、アメリカと日本の文化的違いを上手く織り込まれているのを除けば、比較的単純なもの。何が面白いかといえば、先に挙げた大阪の街の映像、そして日本人俳優のキャスティング。日本のTV番組でしか観たことがなかった俳優たちが、上手い配役(キャスティング)で魅力的である。外国人俳優ばかりの映画を見ていた私には新鮮であった。

その中でも松田優作の存在は突出していた。彼は撮影当時、既にガンに侵されていて、苦痛を感じながらの撮影だったと聞く。鬼気迫る演技、「佐藤」という役は彼が作り出した独特の悪人像、誰も演じることはできない。

実は高倉健もカッコ良いなと思った。日本の仕組みに迎合しながらも、異文化のマイケル・ダグラス演じるニックとアンディ・ガルシア演じるチャーリーとの交流する姿は楽しかった。特に、高倉健とアンディ・ガルシアが「クラブみやこ」(道頓堀のキンリプラザ、今は無くなった?)で「レイ・チャールズ」をデュエット?するシーンが良い。

この映画は、監督の映像力で近代的には観えるが、ムチャクチャ「オトコクサイ」だけの映画と評されても仕方がないかもしれない。しかし、これは日本人の私の評価であって、外国人から観ればヤクザや食(映画では、いつも麺類か弁当ばかりが出る....)などの日本文化も楽しめるのでしょう。

余談
外国映画の不自然な日本人はこの映画では少ない。が、それでも違和感のある日本人の台詞は少なくない。その理由は、日本での撮影が難航(許可が下りない、撮影しにくい)した為に、多くを国外で撮影したため。なので日系人による「英語なまりの日本語」となってしまったようです。残念...。

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