私とラジオ
ガキの頃、今のように洋楽ばかりを聞く以前、頻繁にラジオを聞いていた。自発的にというより、兄貴たちが聞いているを何気なく一緒に聞いていたという感じだ。次第にミュージシャンのトークが目的になっていったが、当初は邦楽のランキング番組に釘付けになっていた。番組名は忘れたが、日曜日の昼にやっていた番組。
「試験勉強をしながら深夜のラジオ番組を聞いた」という人もいるが、私はそういうことはしなかった。そんな世代になった頃には、兄貴が買ったステレオセットがあり、レコードからダビングした大量のカセットテープから音楽だけを聞く方が多くなったから。
たまに、興味のあるミュージシャンが特集される時を除いて、徐々にラジオから遠ざかっていったように思う。ヒット曲重視のラジオ番組を聞くよりも、兄貴たちのコレクションのレコードを聞く方が楽しくなったから。
ピーター・バラカンのことは、当時から知っていたが、彼のラジオ放送を私の住んでいる地域で聞けたかどうか分からない。ただ、聞けたとしても、当時の私が聞いたかどうかは疑問だ。というのも、本書から分かる当時の彼の選曲を私が楽しめたか疑問なのだ。今となっては、興味深い選曲ばかりなのだが。
本書を手に取ったきっかけは、数ヶ月前から聴き始めた彼がホストを務めるポッドキャスト「ライフスタイル・ミュージアム」。防水ラジオを手に入れてから、お風呂で多少はラジをを聞くようになったが、ポッドキャストを聴き始めてからは、またしてもラジオ離れ状態に戻ってしまった。
メディアの未来:日本は10年遅れ
とはいえ、「バイリンガルニュース」を含めて、いくつかのポッドキャストを通して「ラジオ的な良さ」を初めて知ったのはごく最近だ。私の「テレビ離れ」も原因だが、トーク主体のラジオ、さらにはスポンサーに迎合しすぎないポッドキャストは、スポンサー付きの一般のメディアとは違う「自由さ」を感じる。
半年ほど前の「バイリンガルニュース」で、マミが
リスナーが興味ある記事を選んでいない、私とマイケルが紹介したい記事を取り上げているだけ。リスナーに受けそうな選び方をするのなら、このポッドキャストはやっていない。
実際の発言とは異なるが、このような趣旨のことをマミが発した。
所謂「ウケ狙い」をすると、結局どれも同じような番組になる。それは「ヒット曲を狙いすぎると、結局は似たような音楽ばかりになる」のと同じ理屈。
「ウケ狙い」の番組や楽曲もあってよいのだが、私が求めるのはそんなものではない。「もっと自由であってほしい」ということ。私が知らないことや知らない音楽を知りたいのだ。
ポッドキャストは、今では古いメディアの大手テレビ局にできないことをやれる媒体だと思う。日本の著作権上、ポッドキャストで音楽を流すのは難しいという、世界的には「阿呆らしい規制」もいずれ緩和されると期待する。テレビより古いメディアのラジオこそ、そんな規制から逃れて、ネットと融合しやすいメディアだと思うが、未だに全国の優良なラジオ番組をネットで聞くことはできない。
ネットで世界のラジオのトークや音楽を聞けるのに、日本のこの有様には呆れるばかり。
更に、本書で紹介された米国のラジオやメディア事情を知ると、日本での謙虚な遅れは明白だ。原因は「既得権益」であるのは間違いない。結局のところ、日本のメディアの提供者は、ユーザー重視ではないのだ。相変わらずのスポンサー重視であり、その結果、良質な番組も少なくなっている。ラジオの衰退、テレビ離れの構図が見える。
プロテスト・ソング
先に書いたように、ピーター・バラカンの番組をほとんど経験していない私にとって、リアルタイムに楽しめなかった音楽を、その当時の様子も含めて紹介する本書をとても楽しんで読んだ。彼と同様に、私の音楽の好みの大きな柱は Blues ミュージックなので、彼の選曲には興味深いものが多いのだ。
ここでは、中でも楽しかったものを一つ取り上げる。第4章「世紀も変わり、メディアも変わる 2000〜2009」で、「911 atacks で禁じられた音楽」で紹介した 911後に事実上放送禁止になった話もここから。
次の引用は、その「911 atacks で禁じられた音楽」に書いた「音楽の力」を表している。
ブッシュへの怒りを込めてこの曲を、といったコメントをぼくは番組では言いません。さりげないほうがいいのです。トークとかける曲との関連は、直接に説明はしなくても、気づく人は気づくし、気づかない人はそれでもいいと思っています。P.149
ラジオのトークは一方的に「偏った意見」に取られやすい。そんな誤解を解く一つの方法が「良い音楽を流すこと」にあると思っている。音楽に込められたメッセージは、言葉では語れない多くのことを語るから。気づかない人は気づかないが、それでも気づく人は深くそのメッセージを受け止めることだろう。
良い音楽を選曲する人の意見は、聞くに値すると思う。
最後に、本書に末尾に添付された「ピーター・バラカンが選ぶ 時代を動かしたプロテスト・ソング 50曲」を取り上げる。私が知っている曲を強調文字にしてみたが、1985年が直近の曲なのに少し驚いたが、私の好みを考えれば納得もする(笑)
01. Billie Holiday "Strange Fruit" 1939
02. Woody Guthrie "This Land Is Your Land" 1940
03. Eddie Cochran "Summertime Blues" 1958
04. Bob Dylan "Masters Of War" 1963
05. Pete Seeger "We Shall Over Come" 1963
06. Sam Cooke "A Change Is Gonna Come" 1964
07. Bob Dylan "With God On Our Side" 1964
08. Buffy Sainte Marie "The Universal Soldier" 1964
09. Bob Dylan "Chimes Of Freedom" 1964
10. Phil Ochs "I Ain't Marching Anymore" 1965
11. Country Joe & The Fish "I Feel Like I'm Fixin' To Die Rag" 1967
12. Buffalo Springfield "For What It's Worth" 1967
13. Aretha Franklin "Respect" 1967
14. Mose Allison "Everybody's Cryin' Mercy" 1968
15. Nina Simone "To Be Young, Gifted And Black"1969
16. Creedence Crearwater Rivival "Fortunate Son" 1969
17. John Lennon "Give Peace A Chance" 1969
18. James Brown "Say It Loud (I'm Black And I'm Proud)"
19. Edwin Starr "War" 1970
20. Crosby Stills, Nash & Young "Ohio" 1970
21. Joni Mitchell "Big Yellow Taxi" 1970
22. Gil Scott-Heron "The Revolution Will Not Be Televised" 1970
23. John Prine "Sam Stone" 1971
24. Marvin Gaye "What's Going On" 1971
25. The Staple Singers "Respect Yourself" 1971
26. Marvin Gaye "Mercy Mercy Me (The Ecology)" 1971
27. Curtis Mayfield "We Got To Have Peace" 1971
28. John Lennon "Imagine" 1971
29. Randy Newman "Political Science" 1972
30. John Lennon "Woman Is The Nigger Of The World" 1972
31. Randy Newman "Sail Away" 1972
32. Stevie Wonder "Living For The City" 1973
33. Bob Merly & The Wailers "Get Up, Stand Up" 1973
34. Bob Dylan "Hurricane" 1975
35. Isley Brothers "Harvest For The World" 1976
36. Fela Kuti And Afrika 70 "Zombie" 1977
37. Grandmaster Flash & The Furious Five "The Message" 1982
38. Peter Gabriel "Biko" 1980
39. Bruce Springsteen "Born In The "U.S.A." 1983
40. Robert Wyatt "Shipbuilding" 1983
41. Linton Kwesi Johnson "Di Great Insohreckshan" 1984
42. Special A.K.A "Nelson Mandela" 1984
43. United Against Apartheid "Sun City" 1985
44. Thomas Mapfumo "Corruption" 1989
45. ランキン・タクシー "誰にも見えない、匂いもない" 1989
46. Little Village "Do You Want My Job" 1992
47. Disposable Heroes Of Hiphoprisy "Television (The Drug Of The Nation)" 1992
48. Michael Franti(Spearhead) "Hole In The Bucket" 1994
49. Joan Osborne "War" 2002 (Edwin Starrのカヴァー)
50. Steve Earle "John Waler's Blues" 2002

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