2015年7月18日土曜日

吉田拓郎トリビュート~結婚しようよ~:やっぱり「精神的鎖国」?

先週末に実の兄が帰省した際、実家にあった吉田拓郎のCD「たくろう Live '73」を見つけて

このアルバムは良いぞ、ギターは高中だ。

そもそも邦楽を聴く機会が少なく、井上陽水よりも更に聴かなくなった吉田拓郎だが、こうやって勧められると聴きたくなる。聴かなくなったとはいえ、ガキの頃に聴いた拓郎の楽曲は忘れることはない。先日も「多様性が導く繁栄:古い水夫じゃないだろう」と思わず拓郎の「イメージの詩」の歌詞を引用してしまうほどだ。

拓郎のアルバムは概ね「デジタルデータ」として持っているが、iTunes のライブラリーに整理していない。そんな未整理のデータの中にあるはずの「たくろう Live '73」を探していたら、2008年の「吉田拓郎トリビュート~結婚しようよ~」を見つけた。

「何で、こんなの持ってんだ?」と一瞬思ったが、妙に気になり期待せずに聴いてみたら予想以上に良かった。以下、収録の楽曲と演奏者。

  1. 人生を語らず/ガガガSP
  2. 夏休み/熊木杏里
  3. 加川良の手紙/つじあやの
  4. 結婚しようよ/中ノ森BAND
  5. シンシア/音速ライン(藤井敬之)
  6. 大いなる/ジェイク・シマブクロ
  7. 制服/下地勇
  8. となりの町のお嬢さん/ホフディラン
  9. 流星/真心ブラザーズ
  10. 落陽/怒髪天
  11. リンゴ/平川地一丁目
  12. ビートルズが教えてくれた/LISA

吉田拓郎トリビュート~結婚しようよ~
吉田拓郎トリビュート~結婚しようよ~
インペリアルレコード (2008-02-02)
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12組のミュージシャンは、ジェイク・シマブクロ、ホフディラン、真心ブラザーズを除いて知らなかった。演奏にいたっては、ほぼ全員について詳しく知らない。そんな前提で聴いたこのアルバムの第一印象は

  • 一曲目の「人生を語らず」は相変わらず「Rock」な楽曲。
  • 「夏休み」の「熊木杏里」のボーカルがとても良い。
  • ウクレレによるアレンジの「加川良の手紙」は「つじあやの」、このアルバムで一番好きかも。バッハ「メヌエット ト長調」には感心した (^^)b
  • 「シンシア」はやっぱり名曲、このアレンジも上手い。
  • ジェイク・シマブクロの演奏がウクレレと思えない響きに驚く。
  • 「となりの町のお嬢さん」のホフディランは上手い。「となりの町のお嬢さんは 今年の夏の忘れ物」で終わる歌詞に微笑んでしまう。
  • 「真心ブラザーズ」が演るには名曲すぎる「流星」(すぐに「ごめんね青春」を思い出した)。アレンジの違いも分からず、これでは「カラオケ」です。
  • 「落陽」は楽曲の完成度が高すぎてカバーには向かない。
  • 小学生の頃に初めて聞いた時から大好きな「リンゴ」、ませたガキでした(笑)

中ノ森BANDの「結婚しようよ」で気づいたのは、女性ボーカルで拓郎の楽曲を演ると新鮮さが増すということ。聴き慣れていないせいもあるかもしれないが、それは女性ボーカルによる Tom Waits のカバーに似ているかもしれない。


邦楽は「歌詞」こそ重要?

このアルバムは、新しいメロディーやアレンジを楽しんだが、新たな演奏者とアレンジで「歌詞」に惹かれている自分に気づく。カバーしているミュージシャンらも、そんな「歌詞」を楽しんでいる風に聞こえる。

洋楽にのめり込む前のガキの頃、好きだった邦楽は「歌詞の良さ」が理由だったのは間違いない。その後、リズムやメロディ、アレンジにおいて豊富で魅力的な洋楽にのめり込んで行ったのだが、「邦楽の歌詞がダメになっていった」ことも否めないかもしれない、とふと考えてしまった。

兄貴が帰省した先週末、実家で観た録画TV番組が興味深かった。それは仲井戸 "Chabo" 麗市がホストを務める番組で、ゲストはピーター・バラカンだった。彼のある発言が印象的だった。それは

ピーター・バラカンの The Rolling Stones のベスト5の曲に「Tumbling Dice」がある。Stones と同じ英国出身の彼だが、彼にとって「Tumbling Dice」の歌詞は全く意味不明にもかかわらず、大好きな曲。

「今どきの日本人は洋楽を聴かない」ということを聞いたことがある。その理由として「英語の歌詞が分からない」からだそうだ。「洋楽を聞かない」とその理由の真偽のほどは分からないが、少なくとも理由については適切ではないと思っていた。

とはいえ「洋楽を聴かない」の真偽は、ダウンロードが主流になった現在、CDの売り上げだけでは測れなくなっている。売り上げのランキングは、昔以上に意味がなくなったと思っている。これも「ゴミはゴミを生む」計測方法にすぎない。


洋楽を聴かない本当の理由

そして「英語の歌詞がわからない」が理由として不適切なのは、先のピーター・バラカンの発言が裏付けている。英語が母語の外国人でさえ理解不能な歌詞にもかかわらず、楽曲に魅力を感じるのだ。彼同様に「Tumbling Dice」が大好きな私だが、「歌詞がどうこう」で楽曲を楽しんでいる訳ではないのだ。

今時の日本人が「洋楽を聞かない」のは、結局のところ「音楽を楽しんでいない」、もしくは(言いたくはないが)「音楽を楽しむセンスがない」ということになるかもしれない。今以上に日本人が洋楽を聴いていたであろう70年代や80年代よりも、現在は比較にならないほどに世界の音楽を聴くことができる。それこそマイナーでレアな楽曲も手に入れることができる状況にもかかわらず。

ずっと前に出会ったポーランド人の17歳の高校生は、Stones や The Doors などの70年代の所謂「classic rock」を普通に聞いている、彼の同級生も同様らしい。先月飲み屋で知り合った若いデンマーク人も同じで、彼とも classic rock の話題で盛り上がった。

そんな彼らより出会う頻度が圧倒的に高い日本人と、そんな風に音楽の話題で盛り上がることは少ない。「今時の日本人は洋楽を聴かない」という事実は認めざるを得ないようだが、私なりに考えるその理由は「ちょっと悲しい」...。

「歌詞の良さを求める邦楽の聴き方」は非難しないし、私自身も邦楽に期待するところでもある。ただ、音楽を聴く姿勢としては、やはり 狭い としか言えない。

言葉の壁なんて軽々と超えてしまうのが音楽であり文化であるはずなのにね...。考えたくはないが、今の多くの日本人が「精神的な鎖国」状態なのかもしれない... (T^T)

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