本作のことはずっと前から知っていた。数年前に著者がゲスト出演した「ライフスタイルミュージアム」を先日聞いて読みたくなった。「たかのてるこ」が本書の著者であることを思い出して、読みたくなったのだ。
旅のエッセイ本には興味がなかったが、これは面白かった。ノンフィクションとはいえ、面白い小説を読んでいるように引き込まれた。インドには行ったことがないが、これまで一緒に仕事をした外国人の数としては、圧倒的にインド人が多かったので、インドやインド人の記述に頷く場面は多かった。
面白い理由は、彼女自身とその行動にあるのだが、話題の中心が「人」にあるからだろう。
私はずっと「スゴい人」になりたいと思っていたし、スゴい人になるには、何か「スゴいこと」をしなくてはいけないとも思っていた。でもこの世には、そんなにスゴい人も、そんなにエラい人もいないように思えてきた。世界 中どこの国の人も「メシ食ってクソして寝る」毎日を過ごしていて、私の生活とそう変わりはない。みんな、たまたま生まれた場所で、それぞれの普通を生きているだけなのだ。P.329
これはインドの旅を終えた後の記述。ここ数年、私も感じていることだ。
大学生の頃、家庭教師先の高校生が「ロシアに生まれなくて良かった」みたいな発言をして「ムッとした」ことを思い出した。そして、東京の頃の同僚が「黒人が握った鮨は食べたくない」ということも。その当時は彼らに何も言えなかったが、今ではその時に感じた気持ちを表現することができる。
ずっと旅行になど興味はないのだが、著者のような旅をしたいとは思っている。観光旅行をイメージする「旅行」ではなく、私がずっとしたいのは「旅」だった。
東京の会社に在籍中、米国西海岸で3ヶ月ほどの滞在して楽しかったのは、日々の暮らしだった。スーパーマーケットのレジ打ちのオバちゃんとの話し、昼食で行くメキシコ人だらけのサンドイッチ屋での会話、オフィスのエレベータで突然の会話、自然豊かな大学のキャンパスの散策、ビキニ姿でランニングするガタイの良い(米国人では小柄、日本人では大柄)お姉さん、などなど。今でも忘れられないのは「普通」の日常だ。
そんな私が、突然オートバイの免許を取り、長年の引きこもりがちのバンド活動の生活から一変して「外遊び」が増えた。自然を近くに感じれる地に戻ってきたのも同じ頃だった。
オートバイ自体も乗るのも好きなのだが、加えてツーリング先での出会いや出来事は楽しい。見知らぬ人との会話はバイク中心になるのだが、それでも出会う人は十人十色で同じ出会いは二度はない。
いずれは本格的な海外旅行もしたいとは思うが、反面、日々の日常も「旅」の如く貴重なものとの想いは年を重ねるごとに募っている。自分と向き合うことも大切、何気ない日常の出会いも大切、日々の過ごし方も大切...、近頃、益々そんな風に思えるようになった。
私の興味の中心にあるのは、自然に存在している物事、そして人々...。


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