2015年9月13日日曜日

Hitting The Apex (2015 Movie)

監督:Mark Neale
脚本:Mark Neale
公開:2015年9月2日 (UK)

UKでの公開とDVDの発売は先日のことだが、幸運にもこの映画を観ることができた。とても面白すぎて既に2回観た。

私がバイク好きMotoGPファンということを除いても、極上のドキュメンタリー映画になっている。MotoGPファンなら、きっと楽しむことでしょう。劇場で観たいが、私の住むこんな日本の「田舎」では到底不可能だろう。とはいえ、首都東京で上映されるかも怪しいという実情は、日本のモータースポーツへの認知度の低さを象徴している。

6人のライダーを描く本作品は Faster, Fastest に続く三作目で、完結編という感じもするが、これで終わって欲しくはない。

The race never ends. 

なのだから。
Brad Pitt がナレーションをしているのは知っていたが、制作にも監督の Mark Neale と共に関わっていたとは知らなかった。彼のナレーションはとても良かった。


Marco Simoncelli に捧ぐ

私が MotoGPを見始めたのはいつか覚えていないが、本作品のレースは概ね観た記憶がある。つまり、Rossi がタイトルを獲れなくなった頃だ。そして Marc Marquez が登場した2013年までがをこの映画は描く。
この写真に Marquez を加えたのが、この映画が描く6人のライダー(この写真、Rossi と Simoncelli のデカさが良く分かる、二度と見れない光景)。

当たり前だが 6人とも違う特徴を持つライダー。そして全員が年間タイトルを獲得した/獲得できる/獲得できたライダーなのだ。

6人のライダーの中で特に、Marco Simoncelli に関する Dani Pedrosa と Jorge Lorenzo のコメントには泣ける。この映画を逝ってしまった Marco に捧げる作品としても良いかもしれない。Marco の生前の姿を本作品で見るたびに、泣きそうになった...。

2011年の Lorenzo の Simoncelli 批判は今でも覚えている。あの記者会見の模様を本作品で観れたのは良かった。そして、Pedrosa や Lorenzo の Simoncelli への認識が変わっていたことは知らなかった。その記者会見で Lorenzo が発した

We'll see what happens in the future.

は今となっては...。

Race Director が 初期の Lorenzo がアグレッシブすぎる Simoncelli の走りと似ているという指摘は、当時私も思っていたことだ。例外はあるにせよ、才能豊かなライダーなら通過するMotoGPキャリア初期の出来事かもしれない。

MotoGPライダーの強さとは?
2013年に「それまで最速のクラッシュ」をしたのが Marquez で、337.9km/h とのこと。「生きてて良かったね、Marc」という感じだ。

この映画で印象に残ったことの一つに Marquez の過度なアグレッシブさがある。映画では、Marquezを「Simoncelli に続き、更にアグレッシブなライダー登場」という風に描かれている。

とはいえ、頂点に立つライダーには、そんなアグレッシブさはある程度は必要だろう。ただ今言えることは「Hitting The Apex を目指すのは良いが Marquez、死ぬなよ...」。

MotoGP年間タイトルを未だに獲れない Dani Pedrosa と、MotoGPクラスの初年でタイトルを獲得した Marquez を比較するのは興味深い。「Dani に欠けているのは?」と考えてしまうが「アグレッシブさ」と結論するのは安直だろう。更に Casey Stoner の「早すぎる引退」は、MotoGPライダーのある一面を知ることができる。

Stoner を転倒させた Rosii のアクシデントもよく覚えている。しかし、Stoner が謝罪に来た Rosii に発した次の言葉は、この映画で初めて知った。

Your ambition outweighed your talent.

Rossi を正当化する気はないが、Stoner のことが分かる出来事だ。

これまでは Pedrosa のコメントをあまり聴けなかったが、この映画で彼の魅力に気づいた。Pedrosa と Marquez の接触はよく覚えていて、当時も Dani の「大人な対応」が印象的だった。そこでも、Marquez の過度なアグレッシブさは明らかだった。

Pedrosa と同じスペインライダーの Lorenzo も、この映画で見直したライダー。2015年9月現在を知って、この映画を観ると Lorenzo が ファクトリーYamaha へ移籍の際の声明

Yamaha then signed Jorge Lorenzo as their second rider for 2008. It was a statement. Rossi was the past. Lorenzo was the future.

は興味深い。Rossi は「過去の人」になっていないのだ。

2015年の今シーズンは、現在 Rossi がチャンピンオンシップのトップという、予想できなかった状況。Marquez のタイトルは絶望的だ。こんな面白いシナリオは書けない、やはり現実はフィクションを超える。

300km/hを超える速度で「Hitting the Apex」を目指すライダーたちを「クレイジー」と評することはできない。彼らのおかげで進歩しているテクノロジーを、我々は享受してもいる。何よりも、彼らの戦いの姿には勇気付けられる。


The Race Never Ends

この爺さん二人が何者なのかと、Rossi との関わりを是非とも本作品で楽しんでもらいたい。
こんな爺さんが日本にいるかはどうかは知らない。

とはいえ、Rossi の故郷で彼のレースに一喜一憂するファンの様子や、Marquez の母国スペインで年間タイトル獲得への熱狂は、今の日本では期待できない。彼らの乗っているバイクが Yamaha や Honda であるにも関わらず...。

思うに、日本人ライダーがMotoGPで勝っても、日本でそれほどの熱狂はないだろう。そのことは、近年の日本人ライダー不在の理由にもなるし、日本でモータースポーツの認知度の低さを示している。

とはいえ、MotoGPで勝つ日本人ライダーが永遠に現れなくても、もう気にしないことにした。Yamaha も Honda も日本だけのメーカーではないないのだ。こんな風に、欧州の人たちに熱狂されている事実を素直に喜びたい。

そして、エンドロール終盤に現れたライダーの名前、彼らにこそ最大の敬意を表したい。彼らが、現代の Gladiator であることは間違いない。

The race never ends.

これからもエキサイティングな戦いを楽しみにしています。そして、私自身のエキサイティングな戦いへの励みにしたい。

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