2015年12月26日土曜日

Inside Out (2015 US Movie)

監督:Pete Docter
脚本:Pete Docter, Meg LeFauve, Josh Cooley
公開:米国:2015年6月19日、日本:2015年7月18日
邦題:インサイドヘッド

次は、映画批評サイト Rotten Tomatoes の評価

The site's critical consensus reads, "Inventive, gorgeously animated, and powerfully moving, Inside Out is another outstanding addition to the Pixar library of modern animated classics." 
Inside Out は、Pixar 現代アニメの古典に、また一つ素晴らしい作品が加わった。

本作品は予告編を観てから大いに期待していた。予告編だけからもそのストーリーの斬新さには驚いた。
そして、DVD 化されてようやく観たのだが、かなり衝撃的だった。大げさに聞こえるかもしれないが事実なのだ。ほぼ全 Pixar 作品を観ているので、アニメーションや構成の出来栄えは疑う余地がないのだが、本作は脚本というか、映画全体の企画も含めて大絶賛の作品なのだ。

すでに 2 回観たが、また観たくなっている。最初に観た時は Joy に、2 回目は SadnessDisgust に注目した。特に Sadness が良い!!

漫画もアニメも人並み以下の興味しかない私だが、やはり Pixar は別格と思ってしまう。うまく表現できないが、「アニメを映画で観る価値のある作品」を作っているのが Pixar だという感じ。

「アニメはしょせん漫画だ」は「出来の悪いアニメ」への私の批判の言葉。「出来の悪い映画も漫画だ」という言い方もする。「素晴らしい漫画」があるのは理解しているので、ここでの「漫画」は「子供だまし」という感じ。


制作の舞台裏

本作の魅力を表現するのが困難だったので、本作が作られた背景を調べようと Wikipedia の記事を読んだ。非常に興味深い内容で、以下に気になった箇所を引用する(今日現在、毎度の如く、日本版の記事には記載はない)。

Docter first began developing Inside Out in 2009 after noticing changes in his daughter's personality as she grew older. The film's producers consulted numerous psychologists, including Dacher Keltner from the University of California, Berkeley, who helped revise the story emphasizing the neuropsychological findings that human emotions are mirrored in interpersonal relationships and can be significantly moderated by them.

Doctor とは監督の Pete Docter 、彼の娘さんの「変化」が本作品のヒントになったそうだ。ここでは引用しなかったが、監督本人の子ども時代も影響しているとのこと。そして、著名な心理学者の起用は、本脚本をより現実的なものにした一つの要因だろう。

They consulted Paul Ekman, a well-known psychologist who studies emotions, and Dacher Keltner, a professor of psychology at the University of California, Berkeley. Ekman had early in his career identified six core emotions—anger, fear, sadness, disgust, joy, and surprise. Docter found surprise and fear to be too similar, which left him with five emotions to build characters around. Keltner focused on sadness being an emotion that strengthens relationships.

Keltnerは、関係性を強める感情としての「悲しみ」に注目した、とある。本作品の重要なポイントだ。

Kevin Nolting, editor of the film, estimated there were seven versions of Inside Out created before it even went into production. 
製作に入る前に 7 つのバージョンがあった。

記事には、最終的な方針や脚本に落ち着くまでの、幾つかの経緯が載っている。その過程を読むだけでも、制作者の苦悩が伝わる。「あっさり」と、こんな作品は創られるはずはないのだ。

While pondering what he would miss about Pixar, he concluded that he would miss his coworkers and friends most of all. He soon reached a breakthrough: that emotions are meant to connect people together, and that relationships are the most important things in life. He decided to replace Fear with Sadness, which he felt is crucial to renewal.

彼はある突破口に達した。それは、感情は人々を結びつけるもの、そして関係性は人生で最も重要、ということ。彼は Fear を Sadness に代える決心をした。

彼とは監督の Pete Docter 、彼の制作過程での苦悩の成果は、大きく花開いといえる。

Prior to its release, the film underwent a test screening for children, due to concerns from executives that it would be too complex for younger audiences—a fear quelled when the audience reacted positively to the picture.

DisneyPixar の「首脳陣」と思われるが、彼らは本作品を「子供には複雑すぎるかもしれない」と危惧していたようだ。そんな彼らは、試写会での子供らの反応に安堵したことだろう。


子供以上に大人は楽しめたか(理解できたか)?

Inside Out の好きな場面はたくさんある。中でも特に「おぉっ!」となった場面は、Joy, Sadness, Bing Bong が列車への「近道」の "Abstract Thought" の場面。

 abstract 抽象、two-dimensinal 二次元、 nonfigurative 非具象

これらは芸術用語で、まさに ヒトの「頭の中」で作り出される世界 。「abstract な世界」を、子供らが正しく理解できるとは思わないが、彼らも「そんな世界を感じる」ことはできるのだ。
「映画は芸術性よりも娯楽性」との意見は、同意できない。芸術性を追い求める必要はないが、「高い娯楽性には高い芸術性」で、その反対もしかりなのだ。無邪気に「面白ければ良い」で創られるものに、価値などないのだろう。

例えば、「大人も子供も楽しめる」と宣伝されるものは、大抵「子供だまし」でしかないと思っている。「子供が楽しめる」に配慮しすぎは「手抜き」であり、子供をなめきった「大人のエゴ」なのだ。私は、子供には 大人にない感受性 があると信じている。

そんな、大人も忘れてしまいがちな子供の感受性を Inside Out は見事に映像化している。「Sadness は人々の関係性において重要」とは分かっていても、本作品のように子供たちに伝えるのは容易ではない。「インサイドヘッド」という「誤った邦題」では、「頭の中」で終わってしまっているのだ。肝心な人々の関係性は「Out にある世界」に存在する、そのことが邦題には欠落している。

私にとって、Inside Outアニメ映画を 別次元に飛躍 させた」と思っている。「一級品の映画」という賛辞では不足するほどに。


Pixar の可能性

Pixar 作品には「古典映画へのオマージュ」を感じることが多い。Wall-E のように "2001: A Space Odyssey" や "Start Wars" の影響を強く感じる描写もあれば、Inside Out のこのシーンのように直接的なものもある。
こんな「オマージュ」を見つけた時は、ほくそ笑んでしまう。そして、Pixar の「映画への愛」を感じる。

Inside Out is the first Pixar film without input from co-founder and former Apple CEO Steve Jobs, who died in 2011. 
本作品は Steve Jobs の助言がない最初の Pixar 映画。

Pixar 映画のエンドクレジットでは、いつも Steve Jobs の名を探していた。本作品で見つけられなかった理由に納得。今後の Pixar にも期待大となった。

エンドロールの次の文に気づいた時は、大きくうなずいた (^^)b

this film is dedicated to our kids. please don't grow up. ever.


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