2016年3月23日水曜日

東大入試問題:数学は公式の暗記にあらず

次は、1999年の東大入試問題(この問題は、文系と理系で同じのようです)。
この問題は、長野裕之著「ふたたびの微分・積分」で知った。


そんな有名な公式の、しかも教科書に必ず載っている証明が東大の入試に出たということで、当時はかなり話題になりました。

確かに、この公式だけは何となく覚えてる。とても「美しい」公式だと思う。過去に東大入試問題なんて解いたことはないが「数学は公式の暗記ではない」と当時も今も信じているので、この問題の (2) に取り組むことにした。

実は本書の解説は、私はピンとこなかった。結果的には私の理解と同じ解説なのだろうが、ここでは私なりの解法を記す。

とはいえ、問題自体の解決に要したのは 5 分程度だったのに、その何十倍も時間をかけたのは「R による描画」。お絵描きツールで「適当にチャッチャ」と書けば、10 分程度で終わるのに、あえて「数学的に描画」したくなったのだ。苦労したけど

おぉ、やったぁ〜。
これである程度の数学の図形は、R で書ける!

と喜んだ。

ここでの描画方法の詳細は、別途「Rggplot2 で数学図形描画」に記す。


解法

解法の大まかな流れは、以下の図で

直線 PR と AQ の長さが等しい関係から公式を導く
半径が 1 の単位円上で、左の三角形で点 Rx 軸上に重ねるように移動したのが右。赤線の長さが PR = AQ は自明。この赤線の長さをそれぞれ求めることにより証明する。何とも幾何学的で「美しい」証明です(笑)。解法に使っているのは、三角関数の基本とピタゴラスの定理のみ。

まず簡単な右の場合から。
このように点 B を取ると、AQ は三角形 ABQ の斜辺となり

 AQ2 =  {cos(α+β) - 1}2 + {sin(α+β)-0}2


次が、本書になかった補助線を引いて気づいた PR の長さの求め方。
このように点 S を取ると、PR は 三角形 PRS の斜辺となる

 PR2 = {cos(-β) - cosα}2 + {sin(-β) - sinα}2
   = (cosβ - cosα)2 + (-sinβ - sinα)2

二行目の変換は sin(-β) = -sinβ,  cos(-β) = cosβ から。

以上から、両辺を展開した次の等式が成立する。

 AQ= PR2
 {cos2(α+β) - 2cos(α+β) + 1} +  sin2(α+β)
 = {cos2β - 2cosβcosα + cos2α} + {sin2β + 2sinβsinα + sin2α}

左の図から

 rcos2θ + rsin2θr2

r = 1 の場合

 cos2θ + sin2θ = 1

この関係から、先の式の両辺を変形する。

 2 - 2cos(α+β) = 2  - 2cosβcosα + 2sinβsinα
    - 2cos(α+β) = - 2cosβcosα + 2sinβsinα
 cos(α+β) = cosαcosβ - sinαsinβ

これで cos の方の証明は完了。

sin の方は、「余角の公式」 sinθ = cos(π/2 - θ) と、証明したばかりの cos(α+β) = cosαcosβ - sinαsinβ を使って証明する。

 sin(α+β) = cos{π/2 - (α+β)}
                 = cos{(π/2 - α) + (-β)}
                 = cos(π/2 - α)cos(-β) - sin(π/2 - α)sin(-β)
                 = sinαcos(-β) - cosαsin(-β)
                 = sinαcosβ + cosαsinβ


以上、証明終わり。

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