2016年9月27日火曜日

批判精神の欠如:STAP 細胞論文騒ぎの「真の背景」

ニュースの見出し的には "Ice Cream Causes Drowning"

アイスクリームが溺れ死ぬ原因

「なんじゃそれ?」となりますよね。

これは TED Radio HourBig Data Revolution から、Susan Etlinger のプレゼン "Do We Approach Big Data With A Critical Eye?" から。


ETLINGER: So does ice cream consumption. And when deaths by drowning decrease, so does ice cream consumption. And you start to think, well, do people tend to drown, you know (laughter), because they didn't listen to their grandma and they went into the water after they ate the ice cream? Do people tend to eat more ice cream to get over their grief about people drowning? You know, what's the story?
祖母の忠告を無視して、アイスクリームを食べて泳いだから溺れたのか?溺れ死んだ人を悼んで、人はアイスクリームを食べるのか?

アイスクリームの消費と、溺れて亡くなる人の数の相関の背景に共通してあるのは「暑い」ということ。データ分析の専門家でなくても、統計学者でなくても、一般常識でわかる理屈だ。


問題は日本のメディアか学者か?

さすがに、こんな「暴論」は今時はないだろうと、日本の記事を優先して探したところ、あっさりと見つかった。しかも、先日の2016年9月12日の記事。


この手の「相関関係と因果関係の過ち」は、日本人の著書でも読んでいたので

まだ、そんなこと言ってる奴がおるんか?

と驚いて、同時に呆れた。

掲載したのが「東洋経済」で、どれほどの権威があるか知らないが、躊躇せずに以下のコメントを投稿した。

分析元のデータを公開して下さい。そして、他の分析機関の結果もご覧下さい。その上で記事をご投稿下さい。このような記事に出会うたびに、「間違った科学」の報道は、STAP細胞論文騒ぎを経ても、何も改善されていないように思います。そんなメディアは、大学などの権威に、闇雲に従っているだけで、批判精神も分析精神も欠如していると見なされても仕方がありません。改善を求めます、科学の正しい認識のためにも。

今日現在、このコメントは最初に出てきます。削除はされてないようです(笑)

この記事を読んですぐに思い出したのは、以前「ポスト・ビッグデータと統計学の時代(現代思想 2014年6月号)」の最後に引用した、太郎丸博氏の言葉。
このような社会学者たちにとって、自説が経験的に正しいかどうかは二の次である。おもしろく説得力があることのほうが重要なのである。

東洋経済のこの記事を「瀧靖之」氏の著作の宣伝と私は結論づけた。加えて「生涯健康脳: こんなカンタンなことで 脳は一生、健康でいられる! いきいき健康シリーズ」という著書もある、本のタイトルを著者が決めたかどうかは抜きに、このタイトルだけでもダメ。本来は、読んでから文句を言うだろうが、「こんなカンタンなこと」以上のことを私は実践していると思うので、読む気もない。それより、なぜ「カンタン」を「簡単」と書かない?それじゃ、脳には不健康だよ(笑)

この分析結果は、「美しい両親」からは女が生まれやすい?、「黒人女性は最も魅力なし」とした Satoshi Kanazawa の Bad Science と大差ないと思っている。

私のコメントの前の投稿を引用する

相関関係と因果関係を間違えていませんか。ほかの方も書いておられましたが、きちんとした食事を整えられる家庭は学習環境その他の面にも気を配れるということなのではないでしょうか。朝食にご飯がベストなら、欧米人はアジア人よりもIQが低くなるということになりますけど?

これに尽きます。

コメントを受け付けているなら、受けたコメントに対して何らかの返答をすべきだと思うのだが、未だに無し。データ分析の成果もダメなら、それを掲載した雑誌社もたかが知れてる。


批判精神の欠如

TED プレゼンからの引用。

ETLINGER: So as businesspeople, as consumers, as patients, as citizens, we have a responsibility, I think, to spend more time focusing on our critical thinking skills. Why? Because at this point in our history, as we've heard, we can process exabytes of data at lightning speed. And we have the potential to make bad decisions far more quickly, efficiently and with far greater impact than we did in the past.

そんな「批判精神」は健全なデータ分析の基本的な姿勢のはず。是非とも分析方法とデータ公開をして欲しい。そして、他のコメントの「米を食べない文化の人たちはどうなの?」へ返答して欲しい。

次は私の見解

支度がパン食より面倒な和食の朝食をちゃんと与える家庭は、家庭環境も良好で、そもそも子どもの IQ が高い傾向にある。または、躾においても良好で、勉学に励む子どもになっている確率が高い。

という「因子」の方が、単なる「菓子パンよりご飯」よりマシだと思うのだが?

「菓子パンよりご飯」は、所詮「結果論」の一つに過ぎない。「脳にはたらくブドウ糖」とかいう分析とは別に考えるべきこと。

それよりも、英文でこの記事を世界に発信してください。そして、日本の菓子パンメーカーは、この記事に反論すべきでは? 以前、職場の自動販売機の「頭脳パン」を夜食にしていた私です。あ、ちなみに、私の朝飯はご飯です。それは単に「米好き」だから。

このプレゼンの彼女の息子 Isaac が自閉症と診断されたにも関わらず、別の方法でコミュニケーション能力を発揮した話は「データ分析の落とし穴」として、何かを象徴している。

And at this point, you might be thinking, "Okay, Susan, we get it, you can take data, you can make it mean anything." And this is true, it's absolutely true, but the challenge is that we have this opportunity to try to make meaning out of it ourselves, because frankly, data doesn't create meaning. We do. So as businesspeople, as consumers, as patients, as citizens, we have a responsibility, I think, to spend more time focusing on our critical thinking skills.

データだけで全てを「語らせる」ことが、万能になる日が来るかどうかは微妙だ、少なくとも私が生きている間に...。チェスや囲碁のゲームと同様に扱えない難しさは、常に無視できないのだ。

誤りの組み合わせは、単純に次の三つ

機械の解釈を誤る人間
誤った解釈をする機械を信用する人間
機械と人間の両方で誤る

人間の方が賢くなるべきなのは当たり前。

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