2017年2月4日土曜日

as と when, 翻訳家の視点

for と because, for と because of」からの続き。

「不思議の国のアリス」を英語で読む (ちくま学芸文庫)
別宮 貞徳
筑摩書房
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今回は、P.34「as と when の違い」から。


as と when

ここでは原書からの引用は the Project Gutenberg edition を使う。

Either the well was very deep, or she fell very slowly, for she had plenty of time as she went down to look about her and to wonder what was going to happen next.

今回は、上記の文の解説。

アリスの落ちたトンネルは 
  Either the well was very deep,
either ... or の形です。「とても深かったのか、それとも落ちか方がひどく遅かったのかどちらか」。なぜそんなことがいえるかというと(さっき説明した for の用法)、 
  ... for she had plenty of time as she went down 
 落ちて行く時間がたっぷりあるのです。as は「時」をあらわす接続詞で、when よりも同時性が強いといわれます。そのため「...しながら」とか「...したとたん」とか「...するはじめから」とか、翻訳にあたっては、いろいろくふうがいる言葉です。

aswhen の突っ込んだ解説を期待したが、これ以上はない。「翻訳にあたっては、いろいろくふうがいる言葉」の方が印象的だ。


翻訳家の視点

実は、この as よりも次の after の説明の方に「なるほど」と思った。
`Well!' thought Alice to herself, `after such a fall as this, I shall think nothing of tumbling down stairs! How brave they'll all think me at home! Why, I wouldn't say anything about it, even if I fell off the top of the house!' (Which was very likely true.)

after は「...のあとで」ですが、ここでは理由の意味合いが強くなります。「こんなに落ちたんだから」。

Oxford Learner's Dictionariespreposition after6 番目に掲載の意味
as a result of or because of something that has happened
  • I'll never forgive him after what he said.

a result of, because of だって。前回の投稿内容を継続した話題になってしまった。

ただ、この after に「なるほど」とは思ったが、考えてみれば難しいことではない。きちんと日本語や他言語に翻訳する際は、「理由の意味合い」を意識するだろうが、サラサラと読んでる限りは、「何となくそう解釈して読んでいる」と思う。

つまり本書は、著者別宮貞徳氏の「翻訳家としての視点」が強く反映されたものとして、読むべきなのだろう。私見だが、外国語を「翻訳家の視点」で読むと、一般の人は疲れると思う。英文であれ、文章はリズム良く読みたい私としては、そんな読み方はしない。

これは本書への批判ではなく、「そう解釈して読んだ方がよいのでは?」程度。だって、本の読み方は様々ですから。

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