次は Alice's Adventures in Wonderland 「不思議の国のアリス」の Down the Rabbit-Hole から。
Presently she began again. `I wonder if I shall fall right through the earth! How funny it'll seem to come out among the people that walk with their heads downward! The Antipathies, I think--' (she was rather glad there was no one listening, this time, as it didn't sound at all the right word) `--but I shall have to ask them what the name of the country is, you know. Project Gutenberg edition
問題は原文を強調した箇所
The Antipathies, I think--
にある。
この Antipathies を素直に解釈してもダメ、ということらしい。
「らしい」とは、別宮貞徳著「不思議の国のアリス」を英語で読む の Antipathies を「退職金」と訳すわけ (P.47) にその解説があるから。
別宮 貞徳
筑摩書房
売り上げランキング: 126,056
筑摩書房
売り上げランキング: 126,056
この著者に対して悪意は微塵もないが、この解説を読んで「へぇ〜」という以上の感情は湧かなかった。むしろ「翻訳家ならではの自慢かよ」と皮肉も言いたくなった。この感じを例えれば、漫才のネタで意味不明のオチを、後で誰かが解説して「へぇ〜」となるのに似ている。バーナード嬢曰く。の神林しおりのごとく
そんなん分かるかぁ〜っ!!
と怒鳴りたい気にもならなくはない。
要するに、そんなことは自分の力で感じたいのだ、ネタバレは嬉しくない。ネタバレをする方から、「私はこんな風に理解したよ、あなたは気づかなかったの?」と、蔑まされた気分にもなる。そんな時は「そんなん気づかんわ、気づかんでも良いし!」と反発したくなる。
要するに、そんなことは自分の力で感じたいのだ、ネタバレは嬉しくない。ネタバレをする方から、「私はこんな風に理解したよ、あなたは気づかなかったの?」と、蔑まされた気分にもなる。そんな時は「そんなん気づかんわ、気づかんでも良いし!」と反発したくなる。
まぁ、漫才ネタと「アリス」の言葉遊びを比較すると、誰かに失礼な気がするが、大きく間違ってはいないと思う。
ようやく、本書 「不思議の国のアリス」を英語で読む の第二章「イメージをつかむ読み方」まで読み終えたが、本書を読了すべきか迷っている最中。
理由は前回も書いたように、本書では「翻訳家の視点」が重視されて、解説が「ちょっとシツコイなぁ」となっているから。多少は英語の勉強になるが、「俺は、そんな読み方はできないし...」という反感の方が大きい。これが著者の意図と違うのは分かっても、物語や解釈を押し付けられるのは気分がよくない。
原書は読むべからず
原書は読むべからず
ただ、次の解説はありがたかった。
ここで、『アリス』の言葉遊び(wrodplay)について一言触れておかなければなりません。『アリス』は子供向きに書かれたものですから、英語自体はやさしくて、高校上級ぐらいの力があれば十分読めますが、問題はしゃれや語呂合わせ、もじりなどなどの言葉遊びで、それを読みとるのは並大ていのことではありません。注釈がないととてもむりだと思います。しかも『アリス』は、言葉遊びの宝庫といわれるくらいで、数えきれないほど出てきますから、原文で十分味わうにはたいへんだということは覚悟しておいて下さい。理解し味わうだけならまだしも、それを日本語にするのはまさに至難のわざ。P.49
原書 Alice's Adventures in Wonderland は、ずっと前に読んでみたが意味不明で、第一章あたりで断念した。物語の流れは理解できたが、面白さや魅力が理解できないのだ。Louis Sachar をはじめ、英文の児童書は好きで楽しんでいたが、この『アリス』本は読めなかった。
あまりにも有名な本なので、「読めない」ことにガッカリしていたが、今回その理由が明らかになった感じだ。
次は、私なりの忠告
自分のことを「英語を学習中」と少しでも思っている方は、Alice's Adventures in Wonderland を原書で読まないこと。
たくさんある翻訳本を読んで楽しむのは良いとしても、その程度の英語力でこの原書を読んでも、楽しくないかもしれない。
すでに指摘したように、原書は100年以上も前に書かれたのだ。「古い」表現があっても不思議はない。そして、英語の「言葉遊び」を解釈できなければ、楽しめないとなれば、なおさら英語学習者が読むべきものではない気がする。
英語学習者が読んだ方がいい、つまり「読みやすい」本は、あなたの想像以上にあります。『アリス』本に拘る理由はありません。
『アリス』本が超有名だからといって「読むべき」とはならないのだ。こんな風に思えたのは、Pierre Bayard著 読んでない本について堂々と語る方法 の影響が大きい。つまり、「読むべき」という段階になったら、自然と手にとって気楽に楽しめると思う。英語学習者の大半にとって、それは「今」じゃないと思います。
ということで、私は原書 Alice's Adventures in Wonderland は、あと 四、五年「寝かせる」つもりです。他にも、私が「今、読むべき本」は満載なので。
0 件のコメント:
コメントを投稿