2022年2月18日金曜日

殺し屋


殺し屋

原題:Hit Man
著者:Lawrence Block
訳:田口俊樹
発行:1998年10月25日初版

伊坂幸太郎の AX アックス か ホワイトラビット のどちらかの解説に、「伊坂幸太郎は Lawrence Block が好きらしい」ようなことが書かれていて、Lawrence Block が気になっていた。英文の本は毎日読んでいるが、小説などのフィクションものは滅多に読まない。英文フィクションは Never Let Me Go 以来読んでいない。

英文フィクションを好んで読まない理由は二つ:

 ・ノンフィクションの方が読みやすい
 ・好きな作家が少ない

前者は単純に私の英語力の問題。しかし、英文読解力が上がっているのを最近実感するので、そろそろ「娯楽系ノンフィクション」も数多く読むつもりでいた。しかし「作家を知らない」、つまり「どれを読むか問題」。

そして、3652 伊坂幸太郎エッセイ集  でケラーシリーズを読むことにした:
まさに、「どうということのない話」でありながら、どこにもない小説となっている。 
「ストーリー」とは、読者を先へ先へと導いていくエンジンのようなものでもあるから、そういう意味では、ケラーシリーズは、エンジンを積まないグライダーとも言えるかもしれない(と譬えておきながら、僕はグライダーに乗ったことはないのだけれど)。 
(略)では、つまらないか?とんでもない!そのグライダーから眺める景色は、本当に素晴らしく、目的地に着くことよりも(あらすじを堪能するよりも)、その飛行を堪能することが幸せで仕方が無いのだ。そもそも、早く目的地に着くために、グライダーに乗る人なんているのだろうか。 
そのため僕は、ケラーシリーズを読んでいる際には、いつも決まって、「このまま、読み終わらなくてもいい」と感じる。P. 355
この解説の通り「どうということのない話」なのだ。

「殺し屋ケラー」の物語なので、殺し屋が活躍する話は、現実では「とんでもない話」なのだが、フィクションでは「どうということのない話」になる。この「どうということのない」、しかし「面白い」を説明するのは私には不可能。この伊坂幸太郎の解説は見事!

今回は試しに翻訳本を読んだが、いつも感じる「変な翻訳だなぁ」「元の英語がわかる翻訳だなぁ」などの気になる箇所はあるのだが、物語自体が面白いので、翻訳本でも楽しめた。今のところ本シリーズは翻訳版で読んから、原書の英文を読むつもり。

Lawrence Block, 良い作家に出会えた気がする。

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