2025年5月7日水曜日

(再読)モダンタイムス 上・下

 
モダンタイムス 上・下

著者:伊坂幸太郎
発行:2011年10月14日初版(単行本 2008年10月)
2018年7月以来の二度目、相変わらず(都合の良いことに)物語の展開を忘れてる。「雰囲気的なこと」は「ふわっ」と覚えているのだが、「次の展開」はまったく予想できない。オチ的な個所で「あぁ、そうだったな」という感じの記憶なので、二度目でも飽きることはない。

聞こえてきたのは、不気味な音だった。声のようでもあるが、何を喋っているのかはまったく分からず、奇妙な声質の人間が不可解な外国語を話しているのかとも思った。上巻 P.123
「ジョン・レノン」と来れば「ザ・ビートルズ」、その後「カセットテープからの不思議な音」と来れば「逆回転録音」と瞬時に連想した。

この点は前回のブログ投稿には記していないが、(再読時には以前の投稿は再読後に読むようにしている、)今回の再読後は以前の感想とかなり一致する。

最も印象的だったのは、前回も引用した:
「俺たちの生きている社会は、誰それのせいだと名指しできるような、分かりやすい構造にはなっていない。さまざまな欲望と損得勘定、人間の関係が絡み合って、動き合っているんだ。諸悪の原因なんて、分からない。俺はその考えは正しいと思う。図式のはっきりした勧善懲悪は、作り話でしか成り立たないんだ」下巻 P.383

そして「テンポがイマイチ」なのも同じだった:
ただ、ツーリングから戻って下巻の中盤からは読むペースが落ちた。面白くない訳ではないのだが、「話が進まない」というか「いつものテンポの良さがイマイチ」という感じ。
本作は「魔王」の続編なのだが、「再々読」した「魔王」の方は楽しめたのに...。違いはハッキリしないが、本作が伊坂幸太郎作品の中でも「暗い」印象はその一つかもしれない。いつものユーモアや会話の面白さはあるものの「全体的に暗い」印象なのだ。

本にも寄るだろうが、少なくとも伊坂幸太郎の作品は「スピード感」があるものが良い。本書に登場する物語「苺畑さようなら」は、読むのが苦痛なほどだった。意図的に「読みにくい小説」にしてるのは明らかだが...(笑)

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