前作:モダンタイムス
あるキング 著者:伊坂幸太郎 発行:2012年8月15日初版(単行本 2009年8月) |
本ブログ投稿上では「モダンタイムス」を7月に読んで以来の著者の作品だが、実はその後で読んだ「あるキング」については投稿していない。理由は、「二度目に語られる後半」を読まなかったから。
「二度目に語られる後半」とはなんだ?自分で記しておきながら全く記憶にない(笑)
伊坂幸太郎作品をデビュー作から再読してきているが、再読とは思えないほど、物語の展開を忘れている。本作『あるキング』も同様に「忘れてるだけ」とみなしていたが、何と後半を読んでいなかった!!
確かに、あまりにも「忘れすぎている内容」の印象は多少なりともあった。それに、今回の文庫版のカバーイラストは「これじゃなかった」とかなり強く思った。
悩ましいのは「なぜ、後半を読まなかったのか?」。伊坂幸太郎作品で「読了しなかった」本はないと思っていた、不思議だなぁ。もしかして、私の性格からして「面白くなかったので忘れてしまおう」の「自動装置が発火」したのかもなぁ(笑)都合の良い話だが「嫌なことは忘れてしまおう」は私の場合はかなり自然に「発動される」。
今回「はじめて読了」した後「ブログ投稿していなかった」事実を知って、一瞬驚いたが、すぐに腑に落ちたのも事実。伊坂幸太郎作品を読むと、大抵は「ブログ投稿したい箇所」があるのだが、本作は「ほぼない」のだ。「話が薄っぺらい感じ」とは言い過ぎなのだが、伊坂作品の特徴である「娯楽性」が「いつもと違う」。意図的に「いつもと違う作風」にしてるのは間違いない。
「文庫版あとがき」の冒頭:
単行本が出た際に、この、『あるキング』について、「いつもの僕の小説とも雰囲気の異なるものになりました」と書きました。
果たして、読者がどう受け止めてくれるのかと心配していたのですが、発売後は、予想通りと言いますか、「何だこりゃ」と感じた読者が多かったような、そういう印象があります。P.290
ミュージシャンや映画監督など私が好きなアーティストたちに「面白い作品は期待するが、自由に作品を作って欲しい」とは一貫して思っている。伊坂幸太郎作品も同じで、「面白いか面白くないかは読者(私)の判断」で、著者に「何かを強いる」ことはしない。色々な試みはするべきで、それを怠ると「新たに面白い作品」は生み出せないのは事実なのだ。
全ての作品が「常に高いレベル」のアーティストなんていないのだから。
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