2026年6月1日月曜日

学校が教えないほんとうの政治の話


学校が教えないほんとうの政治の話

著者:斎藤美奈子
発行:2016年7月10日初版
先日読んだ『落日燃ゆ』で、日本の政治の歴史を垣間見た後に本書を読んだのは全くの偶然。発売順に斎藤美奈子の本を読んでいるので、本当に偶然なのだが、かなり前のめりに読んでしまった。本書のタイトルからして「軽い読み物だろうな」との予想は、さすがは斎藤美奈子、かなり裏切られて面白かった。ていうか、このタイトルは適切なのかは疑問だ。

もっとも印象深いのは:
政治参加の第一歩は、あなたの「政治的なポジション(立場)」について考えることです。政治的なポジションは、結局のところ、二つしかありません。
「体制派」か「反体制派」か、です。
(略)
どっちでもない?あ、そうですか。そんなあなたは「ゆる体制派」「ぷち体制派」「かくれ体制派」です。どっちでもない、つまり政治に無関心で、特にこれといった意見がない人は、消極支持とみなされて自動的に「体制派」に分類されます。
先にいっておきますが、政治的な立場に「中立」はありえません。P.18

政治の二項対立には、右派と左派、保守と革新、与党と野党、タカ派とハト派、...などなど、たくさん。本書でも述べられているが、そんな二項対立の概念(ラベル?)は、時代背景や社会状況などによって「中身が入れ替わる」こともある。また、対立の軸そのものが古くなって機能しなくなることも珍しくない。

なので、「体制派と反体制派」の方が私には分かりやすく思える。つまり「今の体制に賛成かそうではないか」。私は完全に「反体制派」です、ずっとそうだったように思う。「権力」というものへの疑念が拭えないし、「別の視点」での見方を忘れたくないのもある。

『夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く』に「灰色にもさまざまな色」と政治的な立場を揶揄した表現があったが納得した。白黒つけたがるから対立も生まれる気がするのよ。しかし、次を読んで少し混乱した:

保守とリベラル、右派と左派のような分け方はもう古いという人もいます。いまはもう左右の時代じゃないよ、とかね。
そうですか。じゃあいまは、どんな時代なのでしょうか?
冷戦体制の崩壊後、社会党がつぶれるなどして日本の左派は解体し、離合集散をくりかえした結果、民進党(旧民主党)のような、右とも左ともつかぬチームが野党第一党になりました。左派リベラルの力はこうして削がれ、そのすきに自民党は右派カラーを鮮明に打ち出して、議会の三分の二の議席をとるほどの勢力を獲得したのです。
「もう左右の対立の時代じゃないよ」の結果がこれです。P.202

つまり、「みんな違ってみんないい(グレーだよね)」という綺麗ごとが、結果として「体制への批判(白黒の対立軸)」をあいまいにし、現体制(自民党一強)をさらに強固にしてしまった、という矛盾はないだろうか。「もう左右の対立の時代じゃないよ」とみんながグレーの霧の中に隠れた結果、現体制の暴走を許してしまった面はないだろうか。

私は「灰色にもさまざまな色」、つまり人間の心にある豊かなグレーは重要視したい。しかし、目の前の政治に対しては、「体制派か、反体制派か」という立場、少なくとも何らかの意識は持っておくべきだと思う。そうでなければ、豊かな灰色を失い、すべてを塗りつぶす真っ黒な権力を見逃してしまうかもしれない。

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