2010年5月16日日曜日

ハバナ・モード

村上 龍 著
2005年6月25日(単行本)

「13才のハローワーク」の出版直前から「半島を出よ」執筆中までの期間のエッセイ集。「すべての男は消耗品である。」の「Vol.8」になる。

ハバナ・モード―すべての男は消耗品である。〈Vol.8〉 (幻冬舎文庫)
村上 龍
幻冬舎
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このエッセイシリーズは嫌いではないのだが、そのタイトル「すべの男は消耗品である」にどうしても違和感がある。このタイトルを選んだ意図はあるのだろうが、それを知らない(忘れた)私にはずっと違和感があり、これまで本シリーズは数冊を読んだだけ。読まない理由は、タイトル以外(勿論こっちの方が主な理由)は内容の「しつこさ」にあった。

エッセイなので仕方がないこと、且つその主張は大いに賛同するものではあっても同じ本で何度も繰り返される同じ主張は少し「飽きる」し「疲れて」しまう。

そんなシリーズだと分かっていても、敢えて読んだ、5年ぶりぐらいだろうか。感想は根本的なところでは今までと変わらないが、何かが「違う」という感じはあった。それは、「半島を出よ」の執筆中(脱稿直後?)の状態が関係しているのかも知れない。「半島を出よ」は村上作品では、僕の中での評価は高い。著者独特の「緊張感」がストーリー全般に渡って漂っているのが、読んでいて気持ち良い。

そんな「緊張感」が本エッセイにも少なからずあるのかもしれない。その時の出来事、例えば

・イラク日本人人質事件
・北朝鮮拉致問題
・イラクでの日本人外交官射殺事件
などなど

への著者の意見は鋭い。そして、多くの問題は「大手既成メディア」へ収斂する。恐らく著者の非難や指摘は正しいと思う。5年後の今も、大して状況は変わっていないと思うのが、虚しい...。変化(もしくは崩壊)は突然やってくるのかもしれない。

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