“When Dylan went electric, I think one of the issues was the feeling that -- wait a minute, he's gone over to the enemy."
Dylan がエレクトリック側に行ったとき、思うに問題となったのは感情だった、「ちょっと待ってくれよ、奴は敵の側に行っちまったよ」と。
これは VOA の記事「Folk to Rock: When Dylan Went Electric」から。本文はその記事を元にするが、他に読んだ二つの記事は以下の通り。
NPR: The Night That Bob Dylan Went Electric
TIME: The Night Bob Dylan Went Electric
また、Wikipedia の Electric Dylan controversy も興味深い。
その記念すべき「Dylan 初のエレクリックライブ」の一曲目は「Maggie's Farm」、今聞いてもパワフルでイケてます。演奏後、確かにブーイングが聞こえる(笑)
I ain't gonna work on Maggie's farm no more
No, I ain't gonna work on Maggie's farm no more
Well I try my best
To be just like I am
But everybody wants you
To be just like them
マギーの農場では、もう働かないよ
俺は自分であるためにやれことをやるのさ
でも、皆んなは皆んなと同じであることを求める
完全に「決別」を宣言してます。そして、次の曲は「Like A Rolling Stone」
How does it feel?
どんな気分だい?
この夜の真実
「この夜の出来事」を知ったのは大学生の頃、「変化」を受け入れられない大衆の姿を初めて思い知らされたものだ。とはいえ今回は、この「事件」についての記事を三つ読み、実はこの「Dylan の変化」を楽しんでいた聴衆もいたことを知った。過去に読んだ日本の雑誌等の内容からは「大ブーイングだった」と伝えるものばかりだった。事実は歪曲されて伝聞されがち、ですね。
この日の3ヶ月以上前の1965年3月、Dylan は「Bring it All Back Home」というA面がエレクリックバンド構成の曲、B面がフォークソング調の曲というアルバムをリリースしていた。それまでの4枚のアルバムで常に変化はあったものの、このアルバムにおける変化は非常に大きかった。
そして1965年の7月20日「Like a Rolling Stone」がシングルとしてリリースされた。こうやって歴史的事実を振り返れば、1965年7月25日の Newport Folk Festival の「事件」は起こるべくして起きたともいえる。
それでも、数多くの記事や著書が指摘するように、激動の1960年代中盤に起きたこの事件を「時代の大きな変化の分岐点」と捉えるのは、決して誇張ではないだろう。
Fifty years ago, the well-loved musician Bob Dylan played at the Newport Folk Festival and was widely booed. The audience may have been unhappy but Dylan’s performance helped change the direction of music and culture in the United States.
50年前、既に愛されていたミュージシャン Bob Dylanは ニューポート・フォーク・フェスティバルで演奏し激しいブーイングを浴びせられた。聴衆は不幸だったかもしれないが、この夜の Dylan の演奏は米国の音楽と文化の方向性を変えることになったのだ。
Dylan を、未だに「フォークの神様」と評する日本のメディアは、この歴史的事件を語ることはできない。米国に限らず、私が出会った欧州の人たちとの会話からでも、Bob Dylan が世界的に圧倒的な存在なのは間違いない。日本でも Dylanファンは多いが、日本のメディアが取り上げる Dylan は世界と比べてあまりにも(正しくない方に)偏っている気がする。
The mid-1960s were a time of great change. One such place of change was the world of folk music. Music legend Bob Dylan became a symbol of change when he moved from acoustic to electric guitar.
1960年代中盤は大きな変化の真っ只中であった。そんな変化の一つ分野がフォークソングの世界であった。音楽界の伝説 Bob Dylan が、アコースティックギターからエレクトリックギターへ持ち替えた瞬間、彼は変化のシンボルとなった。
ドラマよりもドラマチック(奇妙な表現だな...)に聞こえるが、それが事実だろう。
変化の象徴
米国で「この夜の出来事が変化のシンボルとなった」とあるが、前年の 1964年には所謂「British Invasion」が起こっていた。British Invasion とは
1960年代中盤、ザ・ビートルズ、ローリング・ストーンズに代表されるイギリスのロック・バンドがアメリカで巻き起こした旋風をブリティッシュ・インヴェイジョン(第1次ブリティッシュ・インヴェイジョン)という。その他の主なアーティストとして、キンクス、ザ・フー、ハーマンズ・ハーミッツ、デイブ・クラーク・ファイブ、アニマルズなどの名前が挙げられる。
バンドの多くはロックンロールやR&Bをはじめとするアメリカの黒人音楽に強い影響を受けており、初期の作品はその模倣が多い。職業作曲家やバックバンド、管弦のオーケストレーションによらない自作自演スタイルをとるのも特徴である。ビートを強調したリズム、野性的なボーカル、ボーカルと対等の存在感を示すエレキギター、長髪のルックス、大人に媚びない言動はアメリカの白人アイドルにはない不良っぽさを醸し出し、これが社会的に変革の時代に突入せんとするアメリカのティーンエイジャーの心をつかんだ。
Wikipedia
もちろん Dylan はこの変化を察知していた。
In fact, Dylan was a Beatles fan. He later said that from the first time he heard the Beatles he knew "they were pointing to the direction where music had to go."
事実 Dylan は The Beatles のファンだった。Dylan が後に語ったところでは、最初に The Beatles を聴いた時「The Beatles は音楽が進むべき方向を示していた」と。
何事にも変化のシンボルはあると思う。この記事の最後にあるように、この夜の Dylan の演奏は、音楽だけではないアメリカ文化の一つの転換点でもあった。
Beyond the music, Dylan's performance that night also marked a turn in American culture.
"Before 1965 was really a different world, and it's the '60s of the Civil Rights Movement, and of folk music and of joining arms across the generations and across the races. And after 1965 it's the world of rock…I'm not saying that Dylan created that change, but I do think that the confrontation at Newport happened because it was symbolic of that much larger confrontation, and has been remembered because it really is sort of the moment of rupture where the new '60s emerged."
Dylan が変化を作ったわけではないが...、より大きな衝突や対立の象徴であった。1965年以前は全くの別世界だった、60年代の米国の公民権運動やフォークソング、世代と人種を超えた軍隊への入隊、そして1965年以降はロックの世界へ...。
時代は変わるしかないことを、既に1964年 Dylan は The Times They Are A-Changin で歌っている。抑圧や規制はいつの時代もある、それらは変化を望まない大きな権力を持つ体制側であることが多い。
確執や衝突を避けて「時代の流れに逆らうことなく生きる」のも結構だが、それでは「正しい変化」を見失うだろうし、「正しくない方向」に流されていることに気づくこともないだろう。
この夜のステージで、フォークソングを強要された Dylan が最後に歌ったのは「It's All Over Now, Baby Blue」
Look out the saints are comin' through
And it's all over now, Baby Blue.
This sky, too, is folding under you
And it's all over now, Baby Blue.
The carpet, too, is moving under you
And it's all over now, Baby Blue.
Strike another match, go start a new
And it's all over now, Baby Blue.
もうすっかり終わっちまったんだよ....。

0 件のコメント:
コメントを投稿