2015年9月23日水曜日

Danny Collins (2015 US Movie)

監督:Dan Fogelman
脚本:Dan Fogelman
公開:2015年3月20日
邦題:Dearダニー 君へのうた(2015年9月5日)


日本で半年遅れで公開する情報から「Al Pacino 主演か、久しぶりだな」となったが、直ぐに観る気にはなれなかった。だが「John Lennon との逸話が元になっている」と知って俄然観たくなった。

非常に良い映画だった。「Ex Machina」を観ていなかったら確実に現在の2015年のベスト映画だろう。

Al Pacino は誰も否定できないほどの一級の俳優である。一般には「Godfather」のイメージが強すぎのようだが、私は彼のコミカルな面も好きなので、本作品はそんな魅力も堪能できる作品だ。他にも好きな俳優や、今回気に入った女優も発見したが、そのことは後述する。


素晴らしい脚色

何と言っても脚本が素晴らしい。次の引用は、脚本の背景にある逸話

The story is based on a real-life situation, in which John Lennon and Yoko Ono wrote a letter in 1971 to the English folk singer Steve Tilston, which was unknown to him for 34 years. The real letter was signed "John + Yoko", while the letter in the movie was signed "John". Wikipedia

左が JohnYoko からの手紙の実物。

歌手の Steve Tilston へ宛てた JohnYoko からの送られた手紙が、本映画の骨子となっているが、それ以外の大半はフィクション。「なんでもかんでも事実を元にすれば良いってもんじゃない」とは「あまちゃん」の「鈴鹿ひろ美」のセリフ。

とはいえ、本作品の脚色は素晴らしい。

映画の序盤で概ねストーリーを理解して「あぁ、そのパターンね」と少し重い展開を予想したが、先ほど挙げたように Al Pacino のコミカルな演技がその重い雰囲気を和らげている。その他の役者らの演技も同様だ。

やっぱり「作品の出来不出来、俳優も生かすも殺すも脚本」なのだ。


魅力的な俳優たち

Al Pacino に次いで、Annette Bening が良かった。ただ、その女優の名前は知らなくて、ずっと「どこかで観た女優だけどな...」となっていた。その後で調べて納得、「American Beauty」の「あの妻」です。月日の経過を唸ってしまうが、今でも魅力的です。


お次は Christopher Plummer、これは直ぐに分かった。「The Girl With The Dragon Tattoo」の「あの爺さん」です。彼の出演作は「The Girl With...」の他でも観ているが、この二作品が印象深い。彼のことは詳しくないので偉そうには言えないが、本作品だけからでもカッコ良い役者だと思う。

John Lennon 訃報の報せは曖昧にしか覚えていなくて、そのずっと後になって The BeatlesJohn のファンになった私と違って、この二人の「爺さんと婆さん」世代が抱く John Lennon という存在は興味深い。そんなことを想像しながら、この映画をより一層楽しんだ。

日本のミュージシャンで、こんな風に映画の背景になりそうな人を考えたが、虚しくなりそうなので直ぐに諦めた(笑)

Melissa Benoist は初めて観た女優だと思う。Danny を最初に見て「Holly shit!」の演技一発で気に入ってしまった(笑)
このホテル受付のシーンはとても好きだ。この場面の直ぐ後、Mary 役の Annette Bening も登場する、そこでのセリフも超楽しい。

While you're checking me in, I'll check you out.

こんなセリフ、普通の人が実際発したらどうなるんだろう、大抵この映画のようになると思うけどな...(笑)。

そして、このフロントのシーンにある「for a ride in my car」のセリフは、映画の終盤で改めて思い出してほくそ笑んだ。

映画序盤のライブ演奏シーンで、ベースを弾いているのが Don Was だと直ぐに分かった。近年の The Rolling Stones の作品では、Mick & KeithThe Glimmer Twins と共にプロデューサーをしているし、演奏者にもクレジットされている。大好きな「Voodoo Lounge」からの参加のようで、そのプロデュース力と演奏力は高いと思っている。
物語は幅広い世代の登場人物が織りなす「家族ドラマ」と評することもできるが、そんな単純なまとめ方をしたくないほどに練られた脚本だ。The Beatles ではない John Lennon ソロの楽曲もとても効果的に使われている。


John Lennon へ

彼が Steve Tilston で、事実 John の手紙の受け取った本人。
ショービジネスの「歪んだ世界」は何となく想像できるが、体験したことがないので何とも言えない。しかし、1960年代からの20世紀のショービジネス界は現在よりも「歪んだ世界」だったかもしれない。セックス、ドラッグ、そして「金」だ。才能豊かなほど「早死に」していったミュージシャンらのことを考えると、そこには怖さも感じる

そんな世界にいるミュージシャンたちのことを語ることはできないが、当たり前のこととして、彼らも「一人の人間」ということを、Al Pacino の演技から考えてしまった。映画の終盤、小さなギグで主人公の「犯したミス」が、唯一この映画の重いシーンだった。とはいえ、その「ミスの背景」にも「人間らしさ」が垣間見え納得した。

「音楽の力」なんていう「軽い表現」は使いたくないが、本映画で音楽にある何かを感じてしまったのは否定できない。

逝ってしまった John Lennon のために...。

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