2015年9月24日木曜日

英語ができない病の根本原因:VW不正の報じ方

BBCのPodcastでフォルクスワーゲン不正事件の報道を聞きながら、昼飯を食っていた。徐々に事件のことが分かって、ふと疑問を抱いた。自動車業界には興味はないが、先日「歴史に学ぶ:GMの過ち NUMMI 2015」に投稿したこともあって「GMの崩壊」同様に、その事件の背景を知りたくなった。
すぐにネットの記事を漁ったが、「変な障害」もあって少し手こずった。そんな情報収集の過程で気づいたことを書き始めたのだが、結論は思いもよらないものになった。

その結論とは、日本人の「英語ができない病」の原因だ。「英語ができない病」については、English Journal の同名の記事をもとに幾つか投稿したが、その時には気づかなかった「根本原因」に思い至ったのだ。

日本メディアの海外事件の稚拙な報道

に改めて気づいて

その稚拙さの原因は情報収集能力の低さ

にあるのだが、その低さの原因が

世界への無関心

となってしまった。

「物的証拠」はない、そんな証拠なんて探しようがない。そもそも見つけにくい証拠だからこそ、現在に至る長きにわたって日本人の「英語ができない病」があるのだ。

なので、私の主張が事実か否かは確かめようがないが、その結論に至った経緯を、今回と次の投稿に記してみた。通常は自分のために書いているこのブログだが、今回は何故か「未来の日本への希望」ということで、私ではない誰かに向けて書いてみた。


インターネット前夜

インターネットが、またまだニュースソースとしては未熟だった昔(今でも日本のソースは未熟...)、ジャーナリストらが日本の各紙の新聞を読んでいたのが理解できなかった。要は「多角的に情報を集める」という行為だったと今では分かる。

これまで新聞を購読しなかったのは、単に「面白い読み物」ではなかったから。新聞の内容を読み解く能力もなかったのだが、社会や経済に関心を持ってからも日本の新聞はほぼ読まない。新聞程度の情報源はすでにネットで収集できたし、突っ込んで知りたいことは本で調べるようになったからだ。

そして、今では各紙の新聞を読む行為、またはそれ以上のことをネットの情報から得ている。Podcast やインターネットラジオ、世界の大手新聞雑誌のネット版記事を渡り歩けば、かなり正確な情報を短時間で収集できる。面白い切り口のブログ投稿、そして Wikipedia も貴重な情報源だ。

こんな風に、自分自身の情報収集の有り様を改めて思ったキッカケが、「フォルクスワーゲン規制逃れ」の報道。


VW不正への興味

このニュースは BBCのPodcastで知った。当然日本よりも早い報道で、トップ扱いだった。しかし、その時は英語音声だけでは理解できず「何らかの不正が米国で発覚」という程度の認識しか持てなかった。

後日、事件の詳細を知れば知るほど、その大規模さに驚く。次は、Wikipedia の「Volkswagen emissions violations」から

Volkswagen announced that 11 million cars were involved in the falsified emission reports, and that over seven billion dollars would be earmarked to deal with the costs of rectifying the deceptive software at the heart of the fraudulent pollution statements.

これは24日現在のもので、今後追加や修正もあるだろう。そんな速報性や修正の迅速さが Wikipedia の魅力だ。情報を探す「とっかかり」としては Wikipedia は最適だ。ここで、日本語版の Wikipedia 記事のダメダメさも取り上げたいが割愛する。

こんな風に1,100万台や「引当金を**億ドル」とかという数字が踊りまくっているが、そんなことにはあまり興味がない。「巨額過ぎてイメージできない」というのもあるが、私が知りたいのはそんなことじゃない。

どんな不正で、どうやって発覚した?

これが知りたいことだ。

ネット情報から、不正の仕組みは概ね理解できた。昨今の電子制御とソフトウェア制御のことを詳しく知らなくても理屈はすぐ分かったし、そんな不正の実行は難しくはない。

難しいのは「どいう経緯で見破ったのか」と2009年から2015年まで隠蔽できた背景を知りたかった。「内部告発」が頭をよぎったが、そんな安直な思い込みはダメなので、とにかくネットで情報を漁った。

ここで失敗した。先の Wikipedia は後になって見つけたもの。初めから米国や欧州のサイトを使えば良かったのだが、何気に出た日本人による記事の検索結果の幾つかを読んでしまったのだ。これが大失敗。おかげで、日本のメディアのソースのダメさを再認識したのだが...。


何でカルロス・ゴーン?

まず、ロイターの「排ガスデータ改ざんを隠ぺいするのは困難=VW不正で日産社長」、カルロス・ゴーンの(無関係な?)写真と共に以下のような22日の記事を読んだ。
私の知りたいことがないのは我慢するが、「何でカルロス・ゴーンが関係あんねん?」と腹立たしくなった。おまけに、そのゴーン氏「隠し通すことができるとは思わない」という当たり前の主張だ。不正があった「2009年から6年間は大概長いと思うけどな...」と、この記事とゴーン氏の両方がアホに思えた。どう思います?

次に読んだ記事も、検索結果の上位にあったから読んでしまった。この記事は最悪だが、投稿者に配慮してネタ元は伏せる。

「内部告発か?」みたいなタイトルで、より突っ込んだ記事を期待したが、超ダメダメだった。「ロイターの取材を受けたゴーン社長」と先のロイター記事を引用して、「内部告発」の可能性を匂わせる内容には「アホやな...」となった。

どこの誰か分からない記事を非難しても意味がないが、「狭い情報ソースから浅い考察を垂れ流す」様は、大手メディアにも通じると思う。「ちゃんと調べてからモノを言って下さい」が願いだが、実現しそうにはないので無視するしかない。


ちゃんと報じられていた情報

そして、ようやく日本の記事を諦めて海外ソースを物色し、先の Wikipedia の記事にたどり着いた。

Early allegations 
The independent body International Council on Clean Transportation (ICCT) conducted a study in 2014 showing that diesel automobile exhaust, under "real-world" driving conditions, tends to contain regulated pollutants above the maximum allowable levels set by European emission standards, as well as similar U.S. regulations. Some tested models showed a particularly large discrepancy, and the ICCT, in cooperation with West Virginia University, conducted additional tests to verify their findings. The published results confirmed the ICCT's findings. The findings were also directly presented to the EPA and CARB in May 2014.

「内部告発」という疑いより、他に明確な事実がありそうだと直感した。

そして見つけた Fortune の記事9月21日Here's who figured out Volkswagen was cheating on emissions testsでズバリ発覚の経緯が出ていた。

先の日本人の記事は共に22日のもので、それを書いた連中が海外の情報をちゃんと調べたとは考えにくい。「Wikipedia を元にした」とは書きたくないのかもしれないが、少なくとも連中がこんな情報を知っていれば、「内部告発」に拘るのは滑稽だと思うはずだ。「英語記事から情報を集められない」のに、海外の情報を報じる神経が理解できないし、読み手は不幸にしかならない。


「内部告発」に頼る幼稚さ

この事件が、「内部告発」ではなく、ある意味「調査」で発覚したことは嬉しかった。不正の抑止力としての「内部告発」では、気分が悪いのだ。「内部告発」が「チクリ」みたいで嫌なのだ。

ジャーナリズムの「調査報道」のように、不正を抑制する仕組みの方が明らかに健全。「スポーツマンシップにのっとり...」じゃないが、経済でもそんな戦いを期待するのだ。とはいえ「スポーツマンシップ」のように単純ではないのが世界経済。映画「The True Cost」が描くように闇も深い。「幼稚な発想では生き残れない」のも現実なのだ。

そんな「チクリな内部告発」と、先の「内部告発を匂わせる報道」への嫌悪感に共通点を感じた。

「内部告発」と推測する背景には、「調査報道」を重視しない日本のジャーナリズムがあるように思う。政府や警視庁の発表をそのまま垂れ流すのは日常茶飯事、そんな「垂れ流し」と「内部告発を不用意に仮定する」ことに共通点を感じる。つまり「調査報道」のように、自分で情報をアクティブに収集せず、自分で考えようとしない連中にとっては、「内部告発でした」の方が楽なのだ。

ある種の「内部告発」を受け取った報道機関は、「棚から牡丹餅」的に喜ぶのだろうか?それを「スクープ」として扱ったとしたらもっとアホだ。


メディアは需要と供給に従う?

ようやく本日24日午前、日本版の Wall Street Journal も「VWの不正発覚、きっかけは米大学付属機関の研究」と報じた。遅いよね...。

ここまでの情報に辿り着くのに1時間以上も要した。日本のサイトなんて最初から無視すれば30分で済んで、イライラすることもなかったのに...(泣)

他に読んだ大手日本のメディアの記事もあったが、それらも上っ面の情報だけ。これは、日本の記者が、海外の第一次情報を活用できていない現状なのか、ジャーナリストとしての能力の低さなのか?両方でしょうね...。現地の情報をダイレクトに受け取る能力の無さは、結局その記事の質にも影響する。

あれ? 良質な海外情報を日本のメディアが発しているか? そもそも、そんな海外情報に興味を持つ日本人は多いのか?

「日本人は海外の良質な情報には無関心」という「需要と供給」の関係なら、現状の「体たらく」は理解できる。「良いものを作っても、売れなければ作る意味はない」という論理だ。市場原理とジャーナリズムの質の問題は別物のはずなのに、日本のメディアは「市場迎合型」のようだ。そこでは「真実か否か」や「情報の質」よりも、「売れる」だけが重要。

「卵と鶏の問題」になってしまった。良い情報を提供しないのが悪いのか? 良い情報を期待しないのが悪いのか?

あれ? それも何か違うな...。もっと根本的な原因がありそう...。

英語できない病の根本原因:世界への無関心」に続く。

0 件のコメント:

コメントを投稿