2015年9月20日日曜日

Mature企業はデータ分析重視

時代背景はあるものの、少なくとも私が過ごした大企業、中小企業において、データ分析に基づいて経営/営業戦略を練っている姿は見たことがない。製品を大量生産する企業の場合は、製造ラインの計画をデータ分析的に行っていただろうが、私が経験した企業では、半期毎の予算作成は多大に「勘と経験」に基づくものだったことだろう。

その当時も実施できたはずのデータ分析は、現代ではより容易に実施できる環境が整っている。にも関わらず、未だに実施出来ないでいる企業は、数学や統計学の知識不足というより、データ分析についての理解不足と断定できる。

企業は必ずデータ分析で戦略を立てなければならないのか?

という疑問にシンプルに答えるなら

YES!

データ分析とは程遠いような、例えば「伝統工芸職人店」の場合でも、職人技術をデータ分析するのではなく、材料や販売方法などに積極的にデータ分析は活用できる。

しかし例外もある。企業の繁栄に無関心、或いはその代限りの企業の場合は当てはまらない。つまり、企業の未来を真剣に考える必要のない企業にデータ分析不要で、逆に未来にも存続したい企業には「この会社の現状はどうなっているのか?」「どういう企業にしたいのか?」が必要で、それらを定量的に示せるのはデータ分析しかない。


mature と immature 企業の違い

mature の訳し方として、ここでは Oxford辞書の2番目の訳

fully grown
(of a person, a tree, a bird or an animal) fully grown and developed
  • sexually mature
  • a mature oak/eagle/elephant
OOPOSITE immature

a mature firm は「円熟した企業」と直訳的に訳せるが、シックリこないのでここでは 「mature / immature 企業」とした。

以下の引用は Foster Provost, Tom Fawcett著「Data Science for Business」第13章「Data Science and Business Strategy」の「A Firm's Data Science Maturity」から。

もちろんデータ分析などしなくて、長年繁栄し続ける企業もあるかもしれない。しかし、そんな比率は稀で「企業寿命30年説」を上げるまでもない。「何かを分析して、何かを変えて」いかなければ企業の存続なんて有り得ない。その「何かを分析」の最も有力なのは「データ分析」と確信する。

immaturemature 企業」との違いは、以下の引用でからイメージできる。

A note on “immature” firms 
Being “immature” does not mean that a firm is destined to failure. It means that success is highly variable and is much more dependent on luck than in a mature firm. Project success will depend upon the heroic efforts by individuals who happen to have a natural acuity for data-analytic thinking. An immature firm may implement not-so-sophisticated data science solutions at a large scale, or may implement sophisticated solutions at a small scale. Rarely, though, will an immature firm implement sophisticated data science solutions at a large scale.

「immature」企業に関して 
「immature 企業」が必ずしもダメになる訳ではないが、そんな企業の成功は「mature 企業」よりも運に寄るところが大きい。「immature企業」のプロジェクト成功は、たまたまデータ分析思考に長けた個人の激務に寄るところであろう。「immature 企業」は、「大規模に」大して洗練さていないデータ科学の手法を用いるかもしれないし、洗練されたデータ科学の手法を「小規模に」用いるかもしれない。しかしながら、洗練されたデータ科学手法を大規模に導入する「immature 企業」はほとんど存在しない。

mature企業」をもう少し詳しく見ると

At the high end of maturity are firms who continually work to improve their data science processes (and not just the solutions). Executives at such firms continually challenge the data science team to instill processes that will align their solutions better with the business problems.

高度に「mature な企業」は、(単なる解決策ではない)データ科学に基づくプロセスを常に改善するよう努めている。そんな企業の幹部たちは、ビジネスの問題にうまく対応するプロセスを自社のものにするよう、データ科学チームを鼓舞している。

「単なる解決策ではない」という表現が重要だ。データ分析に基づいて判断するのは、「一過性の解決策」とは違うということ。もっと継続的であることを意味している。


企業は残る or 消える

左は、今年8月の時価総額順の世界ランキング

1位アップル、2位グーグル、3位マイクロソフト、9位フェイスブック。IT企業が目立つ。この4社の共通点はIT企業ということだけではない。4社の創業者である Steve Jobs, Larry Page, Sergey Brin, Bill Gates, Mark Zuckerberg 全員が大学を中退後に作った会社が今に至っていること(中退後すぐには Apple を始めなかった Jobs だけが若干違う)。

何が日本と何が違うのか?

日本では、理系出身の経営者が圧倒的に少ないということ。

何故か?

思うに、これまで日本の経営者に求められたのは「技術よりも勘と経験」「技術よりも人柄」「技術よりも家系/人脈」、まるで政治家だ...。そんな地位を、技術に魅了された人の多くが目指すとは考え難い。

ここで言いたいのは、安直に「理科系の経営者にすべき」ではなく、「データ分析を活用できる能力/センスをもった経営者であるべき」ということ。「便所掃除する社長」も結構だが、それだけで企業が繁栄するとは思えない。

とある老舗の大企業が

私どもの会社は創業からの100年、一貫した経営方針を貫いております。

と発した時、額面通りに理解しがちだが、それは誤りだ。

ある老舗店の料理人の話。常連客から言われて嬉しい言葉は「いつも変わらない味で美味しい」。なぜなら、料理人曰く

味はその時々で変えている
美味しさを保つ努力をしている
客に受け入れられる試行錯誤をしている

とのこと。

食材に限らず、料理を取り巻く環境は変化している。そんな条件で同じ味を作り続けるには「変わらなければならない」ということ。

mature/immature 企業」と記したが、要は「残る/消える企業」なのかもしれない。数代で築き上げた企業も、他者に買収、もしくは倒産するのは一瞬だ。人間同様に法人である企業にも、求められるのは「高い新陳代謝」。しかし人間と違って法人には若返る可能性がある。また、新興企業が「mature 企業」の場合だってある。

やはり「mature 企業」を「成熟企業」と訳するとシックリこない。


日本企業はImmature」に続く。

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