2015年10月27日火曜日

胴元の誘いにはご注意を(組合せではなく順列)

Math DudeMartin Gardner's 3 Penny Puzzle」から。

問題:不正のない 3 枚のコインを投げて、全てのコインが表、もしくは全てが裏の場合は10万円貰える。それ以外の場合は 5 万円を支払うゲームがある。参加すべきか?

と、このゲームに参加するか思案していたAさんはこう考えました。

3つのコインは、必ず表が 2 つ以上か、裏が 2 つ以上出る。つまり、この 3 つ目のコインが「裏か表」で 3 つ全てが表か裏になる。よって、勝率は五分五分なので、負けて払う金額よりも勝って貰える金額が大きいので、参加すべきとした。

つまりAさん、枚全てが表、もしくは裏になる確率が 50% と判断したわけです。

どう思います?「必ず表が 2 つ以上、裏が 2 つ以上」のくだりは正解ですが、その後が変です。

先に答えをいうと「参加すべきではない」。感覚的にもこの人の「50%と判断」は誤りと分かるのですが、数学的に示します。

3 枚のコインの「permutation 順列」の数は、通りの出方の事象が 3 つあるので

 2 × 2 × 2 = 8

つまり

 HHH, HHT, HTH, HTT, THH, THT, TTH, TTT

なので、8 つのパターンの内、Aさんが勝てるのは 2 パターンなので 2 / 8 = 1 / 4 、つまり勝率は 25% しかない。

何をAさんは間違ったか?

簡単に言えば「正しくは順列で考えるべきところを、組合せとした」のが間違い。

つまり

 HHH, HHT, HTH, HTT, THH, THT, TTH, TTT

このように「ダブり」の出方を排除してしまったわけです。2 / 4 = 1 / 2 、だから勝率 50% としたのです。

この場合の組合せの数の考え方は

 H H H  
 H H  |  T
 H  |  T T
  |  T T T

もっと一般的にすると

 ○ ○ ○  
 ○ ○  |  ○
 ○  |  ○ 
  |  ○ ○ ○

区切り線の左側を表、右側を裏とする。この「○と区切り線」の順列は 4! 、そしてこの 4 列の各行で、つの「○」の順列の数は 3! 、区切り線の数は 1 で、求める組合せは 4! / (3! × 1!) = 4

一般式にすれば、事象(この場合は「○」)の数を m, 区切り線の数を n とすれば

(m + n) ! / (m! + n!)

この問題、先日解いた「繰り返し有りの組合せ数」と同じ(「重複順列」とか呼ばれるようですが、その名称等については割愛)。

次に、区切り線を 2 つにした場合(例えば「○が赤、白、黒」と 3 色の組合せ)

  1. ○○○ | |
  2. ○○ | ○ |
  3. ○○ | | ○
  4. ○ | ○○ |
  5. ○ | | ○○
  6. ○ | ○ | ○
  7. | ○○○ |
  8. | | ○○○
  9. | ○ | ○○
  10. | ○○ | ○

○と区切り線の数の合計は 5 、○ の数は 3 、区切り線の数は 2 、よって 5! / (3! × 2!)

> factorial(5)/(factorial(3)*factorial(2))
[1] 10

10 通りの組合せです。

ギャンブルと確率の関係は密接で、ここでも何度も取り上げた。ほぼ全ての「保険」と言われるものも、ある意味でギャンブル。主催元の胴元が負ける「賭けごと」など存在しない。ポーカーや将棋など、自分で勝率を上げられるゲームも存在するが、そこでも厳密な確率計算はしないまでも、強いプレーヤーは常に「勝てる戦略(勝てる確率が高い方法)」を採用している。

「ギャンブル」の言葉の定義は無視するとして、「胴元が勝つ確率が高い」ものは全て「ギャンブル」と言えるだろう。

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