脚本:Tom McCarthy, Josh Singer
公開:2015年11月6日US、2016年4月15日JPN
邦題:スポットライト 世紀のスクープ
本作は、2016 年のアカデミー賞最優秀作品賞。先日も書いたように、アカデミー賞の発表前に本作を観た。
真のジャーナリズム的な物語は、フィクションであれ好きな私です。とはいえ、本作は「ノンフィクション」。映画のための脚色はあるが、骨子は真実。映画のエンドロールで述べられるその後の経緯は、かなり衝撃的だ。
本作を見ようと思ったきっかけは、単に「ジャーナリズム的映画」というだけ。以下の背景を知らずに見始めたので、ストーリーが明らかになるにつれて本映画にのめり込んだ。
The film follows The Boston Globe's "Spotlight" team, the oldest continuously operating newspaper investigative journalist unit in the United States, and its investigation into cases of widespread and systemic child sex abuse in the Boston area by numerous Roman Catholic priests. Wikipedia
大多数ローマカトリック教会聖職者による子供への性的虐待
ボストングローブ紙の "Spotlight" チームが、その「真実」を暴く過程を描いたのが本作品。この作品から色々な想いを抱いたが、ここでは 2 点だけを取り上げたい。
- 日本版 Spotlight は何か?
- Sinead O'connor のこと
日本版 "Spotlight"
ここ 1 年以上、日本のメディアやジャーナリズム(て呼べるのか?)を避けて、大半の情報源を海外から得ている私。充実した情報に喜んでいる反面、日本の現状との違いに愕然とすることが増えている。
気分が悪くなるので、日本の悪い面を探しているつもりは毛頭ないのだが、日本に住んでいる以上、どうしても日本のことを想ってしまう。昨日書いた「日本のドラッグ報道」が良い例で、海外の「オープンな情報」を大量に知るにつれ、嫌でも日本との違いを想ってしまう。この映画のような強烈なテーマも同様だ。
本作が暴いたローマカトリック教会の事件とは、規模的にも内容的にも比較にならないが、自然と連想したのは日本の「お寺ビジネス」。何度か身内を亡くして体験したことと、わずかな情報しか知らないが、それでも疑問だらけの「お寺」。
私の実家では「お寺さん」と親しみ?を込めて呼ばれているが、私はそう呼ぶことができない。日々ジョギングの最中、「ビッグスクーターで袈裟をなびかせながら爆走する坊主」を頻繁に見かけるからでもない。ちなみ、言うまでもなく彼らのヘルメットの色の多くは「黒」...。
「お寺ビジネス」については、積極的に調べる気力が湧かないテーマだが、突っ込むと「闇だらけ」という気がしている。海外の事情と比較すると余計に「グロテスク」に思える。「お寺」を全否定するつもりはないが、暴くべき「闇」はあると思う。
今の日本で、そんなテーマで映画やドキュメンタリー番組が制作されるとは考えにくい。そのこと自体とても残念なこと。「お寺」という日本独自の守るべき文化的側面は理解する。しかし、年々事情は「闇」が増えている気がしている。
私の住む近所の片田舎の場所に、ゴージャスな葬儀場が先日オープンした。その側をジョギングする度に目にする「生前相談会開催中」の看板に「あぁ〜あ」と気分はふさぐ...。
Everywhere, "War"
次の写真は 1992年10月16日 Bob Dylan 30th Anniversary Concert Celebration で、Sinead O'connor が観客のブーイングを浴びている場面。
ほぼリアルタイムに、この模様を日本の衛星放送の番組で見ていた。ブーイングの理由は、日本語字幕で流されたが、「なるほどね」という程度の印象しか当時はなかった。その後、このライブの模様はもう何度も見ている。最高のイベントだったと思う。そして Sinead O'connor のこの事件も頭に焼き付いてしまった。
この映画 "Spotlight" のテーマに気づいて、真っ先に思い出したのが Sinead O'connor のこと。これが、あのライブでのブーイングの原因。
On 3 October 1992, O’Connor appeared on Saturday Night Live as a musical guest. She sang an a cappella version of Bob Marley’s "War", intended as a protest against sexual abuse in the Catholic Church—O’Connor referred to child abuse rather than racism. She then presented a photo of Pope John Paul II to the camera while singing the word "evil", after which she tore the photo into pieces, said "Fight the real enemy", and threw the pieces towards the camera. Wikipedia
それは 1992年10月3日のこと、あの Dylan のイベントは10月16日。今更ながら「直近」の出来事だったのだと驚く。2016年の現在、あのイベントでブーイングを浴びせた観客は、彼女に対してどう思っているだろうか? 彼女と映画 "Spotlight" に関する記事を見つけた It takes a village to rape a child: Tom McCarthy’s Spotlight 。
この Dylan のイベントでは "I Believe in You" を歌う予定だった彼女は、観客のブーイングに対して Bob Marley の "War" を伴奏なしで「絶叫」した。
Child abuse, yah!
Everywhere, war!!
"I Believe in You" と願いながらも、悲しいかな Everywhere, war なのが「この世」。そして、時代は確実に変わっていくのだ。



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