2016年3月1日火曜日

The Oscars 2016:批判を吹き飛ばす最高のショー


2016 年のアカデミー賞の作品賞ノミネート作品は、"Mad Max: Fury Road", "The Martian", "Spotlight" を見ていた。2 週間ほど前に "Spotlight" を観ながら

まずい、これは良い映画だ...

となった。なぜ「まずい」のかといえば、私の作品賞のイチオシは "Mad Max: Fury Road" なのだ。"Spotlight" を観た後もそのことに変わりはなかったが

アカデミー賞的には、"Spotlight" になりそうだ...

と完全に弱腰になってしまった(泣)。

結果的には、"Spotlight" が作品賞となったのだが、その受賞の瞬間は思いの外、落胆しなかった。「やっぱりな」と思いながらも、素直に「良い作品が受賞した!」と同意。Mad Max が作品賞は逃しても「監督賞を George Miller に」との密かな願いも叶わなかった。去年の作品賞 "Birdman" の監督 Alejandro González Iñárritu が受賞したのだが、これも「なるほど、納得...」という感じ。

さて、私のイチオシだった Mad Max の結果は以下の通り。

It is the first film of the Mad Max franchise to receive Academy Award recognition and one of the few sequels to be nominated for Best Picture. It won six Academy Awards for Best Costume Design, Best Production Design, Best Makeup and Hairstyling, Best Film Editing, Best Sound Editing, and Best Sound Mixing, the most of any film that year.
Wikipedia
最多 6 部門の受賞!!

放送で 3 部門続けて受賞したシーンを「うぉ〜、やったぁ〜」と叫びながら見てしまった。しかも、発表前にノミネート作品を紹介する時点で「これは Mad Max だな」というかなりの高い確信を抱いてからの発表なので、余計に楽しかった。

こんな風に Max Max の受賞が続いた結果、楽しいこともあった。Max Max がノミネートされていない賞の発表で、プレゼンターが「受賞は Mad Max ...」とジョークを飛ばしたのだ(笑)

Mad Max の確信的な予想が唯一外れたのが Best Visual Effects 賞。とはいえ受賞作品は "Ex Machina" だったので、これも喜んだ。改めて本作品が「日本で未公開」なのが残念。日本の配給会社の問題というより、日本の映画業界の問題だな。音楽業界の構図と似ているかもね...。


贔屓作品の受賞連続

長年の映画好きだが、今回初めてアカデミー賞授賞式の模様を全て見た。去年の授賞式は別の意味で興味深かったが、式自体や何が受賞するかに関心はなかった。

前のめりに授賞式を観た理由は幾つかある。

一つは、例年になくノミネート作品の映画を多く観ていたこと。ノミネート作品を選んだのではなく、単なる偶然で、自分の趣味で選んだけ。それらの作品が素晴らしかったので、どうしても授賞式では応援してしまった。

好きな男優や女優が増えたのと、そんな俳優らの多くが受賞式に参加していたのも楽しかった。Alicia VikanderBest Supporting Actress を "The Danish Girl" で受賞した時は、「うわっ、"Ex Machina" の Ava じゃん!」とビックリ。
"Inside Out" が the Best Animated Feature Movie 受賞は当然のこととして、"Amy" が Best Documentary Feature Movie なのは心底嬉しかった。私を「真の Amy Winehouse 好き」にしてくれたきっかけの映画だ。Amy への思いが強すぎで、未だに映画を直視できないのだが、これから何度も観ることだろう。

見る予定でいた映画の受賞も嬉しかった。"The Big Short" が Best Adapted Screenplay を受賞。"Room" で Best Actress を受賞の Brie Larson には「おぉ」となった。それに、"Room" の「少女」が実は「男優」だったことに気づいてビックリ。式場にいたその少年 Jacob Tremblay  を見ながら、自然に気づいた。

世論を吹き飛ばすショー

Lady Gaga のパフォーマンスはグラミー賞のとは比較にならないほど素晴らしかった。そして Dave Grohl の  "Blackbird" にも大満足。彼が The Beatles ファンなのを知っているので余計に楽しかった。久しぶりに、またこの曲を弾き語りしたくなった。そして、David Bowie の映像に「あぁ、Bowie も俳優だったな...」となった。
授賞式の数ヶ月前から「差別的なアカデミー賞」という報道を、Podcast などの海外メディアで何度も聞いた。実家の父からも、同様の話題を尋ねられたので、日本でも報道されたのだろう。

批判の内容は理解しつつも、私は完全に無視していた。単に「批判の前に、良い作品を作ってね」という感じだ。私のそんな想いは、監督賞の Alejandro González Iñárritu の受賞スピーチと重なる。直接な言及ではなかったが、「批判への批判」と私は理解した。

受賞式のホストは「黒人」の Chris Rock 。「こんな批判の中、ホスト役をボイコットしろ」みたいな発言を聞いていた。「アホやな...」と思っていたが、Chris Rock は式の冒頭から、この批判を含めた騒動を一蹴した。翻訳なしだったが、概ね理解できた。ムチャクチャ素晴らしかった。現実を見据えた ユーモア満載のトークは痛快 だった。それは私だけでなく、Rolling Stone 誌も同様 "Oscars 2016: Why Chris Rock Should Host This Show Every Damn Year" 。まぁ、毎年でなくても、定期的にやってほしいね。

「オスカーの黒人差別」への回答かもしれないが、授賞式では多くの「仕掛け」があった。「ちょっとやりすぎかも...」となったが、観ている分には楽しかった。少なくとも、そんな「差別批判」から逃げることのない姿勢に共感した。

日本だったらどうだろう?

容易に想像がつくのは「当たり障りのない反論で逃げる」。もっとあり得るのは「触れない」ということ。

この辺は「文化の違い」という気がするが、本質的には「娯楽精神の欠如」だろう。この授賞式でも「ドナルドトランプ」をユーモアにする場面が見られた。そんなことは、日本ではまずお目にかかれない。現役副大統領が演説することもない、スタンディングオベーションで迎えられながら。

映画をはじめとする娯楽が、日本より圧倒的に「成熟」しているということなのだ。その反対は「幼稚」。作品賞の "Spotlight" が描いた、もしくは「あぶり出した」世界は、あまりにもグロテクスなのだ。それを多くの人に伝える手段として「映画 or 娯楽」は十分に機能する。もしかして唯一の手段かもしれない。

アカデミー賞の役割に、そんな作品を広く世界に紹介することがあると思う。今回の授賞式は、少なくともその役割は十二分に担ったと思う。ユーモアたっぷりに。

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