脚本:中村義洋、林民夫、鈴木謙一
原作:伊坂幸太郎
8 時間ぶっ続けで読んだ原作、その直後に映画を観る。
伊坂幸太郎原作の中村義洋監督による映画「アヒルと鴨のコインロッカー」「フィッシュストーリー」「ポテチ」はかなり良かったので、今回も期待した。が、一抹の不安もあった。それは配役への不満。
残念ながら、その不安は的中した。原作を読んだ直後ということを差し引いても、良いキャスティングとはいえない。好みの問題なのだが、他の作品の配役が良かったので、余計にそう感じてしまう。
本作への悪い予感は冒頭からあった。
Golden Slumbers の原曲が流れない
前の投稿でも引用した次のセリフが、皮肉以上に思えてくる。
「でも、あれ、JASRAC とかが、文句言ってくるんじゃねか?」
「怖いな」だが、ビートルズはさすがに JASRAC とは無関係なのではないか、とも思った。
「怖いぞ、権利持ってる奴は」 P.139
楽曲使用とキャスティングの件は目をつぶれたが、大いにダメなのが、小説とくらべて、物語が断然「薄っぺらい」ものになってしまったこと。根幹のテーマだと思っている「権力」の描写が断然薄いのだ。結果、チープな「友情物語」に終始してる感じだ。dilution 希薄化 という表現がぴったりの残念な出来になってしまった。
本来、原作に描かれていたはずの、「見えない」立ち向かう先の「悪の描写」が弱いのだ。
- セキュリティポッドに象徴されるプライバシーの侵害
- マスコミの「害」
- 政治家の姿
これらが「ごっそり無くなった」と思えるほどに希薄化してる。
「ケネディ暗殺」については、私も一時期はまって沢山の本を読んだ。それを題材にした原作は「日本版ケネディ暗殺物語」として上出来なのに。そういうテーマで作らせない「圧力」があるのかと、うがった見方までしてしまう。それとも、そんなテーマでは娯楽作品は作りにくいのが、今の日本映画なのだろうか?
いずれにせよ残念な作品。この作品の存在を、私は忘れることにしました。
Harley-Davidson がスポンサーに付いているのだろうと思わせる時点で「ロック」でもなくなっている。重ねて残念な作品だ。
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