脚本:黒沢久子、片岡翔
原作:西加奈子
原作を読み終えてすぐに映画版を見た。期待していなかったためか、予想以上の出来に喜んだ。
私が映画を見始めたのは小学生の頃で、テレビの洋画劇場が最初。そこから考えても、こんなにも連続して日本映画を見たのは初めてのこと。
先日から「アヒルと鴨のコインロッカー」「フィッシュストーリー」「ポテチ」と、原作を読んで映画版を見る流れが続いている。以前なら、原作とのイメージが違いすぎて、楽しめなかったパターンだが、これらはそうではなかった。原作の主要なメッセージを壊すことなく、さらに脚色の仕方で世界観を深めてくれる様を楽しんだ。
西加奈子の本は、少なからず読んでるが、映像化された作品はこれが初めて。そのためか、宮崎あおいの「ツマ」役のイメージは全く想像できなかった。そこが最大の不安要素でもあった。
しかし、あっさり良い方に裏切られた。もう「宮崎あおいしかいない」と序盤から思ってしまった。特に、海に行くシーンで、助手席での演技には目を奪われた。
宮崎あおいの演じるテレビドラマは、断片的にしか見たことがないが、彼女の演技は、今の日本のテレビドラマの枠では納まりきれないという気がする。レベルが違いすぎるという感じだ。彼女を活かすには、練られた脚本やキャラクター設定が必要だ。
他の役者もすごく良かった。「メガデス」が省かれていたのは残念だった。また原作では、世の中に多々ある「名前や名称の複雑化」を、オモシロ可笑しく使っていたが、さすがに映像化では省かれている。この辺は「小説ならでは」の楽しみ方なのかもしれない。とはいえ、変な脚色のない「素直な映像化」という感じで好感がもてた。
何気ない日常、お互いの過去を知っているようで知らない、話したようで話せていないこと、子供大人老人の世代間のふれあい、世間、そして自然。そんな中で描かれる「夫婦」は
夫婦てこんなんなのだろうな
ドロドロの恋愛フィクションなんかより、現実はもっと残酷だと思ってる。そんなフィクションを描いても、本当の姿は写せない。「何気ない日常の会話や出来事」の積み重ねが、面白いドラマになっていく。現実もそんな感じゃないのかな?
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