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Bullet Train 著者:Kotaro Isaka(伊坂幸太郎) 発行:2021年3月11日(英訳版) |
参考:Exclusive: Meet the Characters in Brad Pitt's 'Bullet Train' and Read an Excerpt From the Book
伊坂作品の英訳版は以前から探していたが、「英訳されていない」と結論づけていたので、今回の映画化に驚いたし、同時に本作が映画されることを「当然」のように納得した。というのも、非常にスピード感のある物語で、その映像が自然と描ける作品なのだ。
そして再度英訳版を探して本書を見つけた。
これまで読んできた伊坂作品の中でも、本作の面白さは確実に上位に位置する。英訳版も、日本語原書同様に楽しんで読んだ。映画版では Brad Pitt が Nanao(七尾)を演じるようで、ときどき Brad Pitt をイメージしながら読んだが、なかなか悪くない。
映画版が、本書のプロット通りなのか、舞台は日本なのか海外なのか、などなど興味は尽きない。公開が今から楽しみだ。
物議を醸す "irregardless"
「どう英語訳したのか」は気になるところだが、英文学者でも翻訳家でもない私は、その点は深く立ち入らないことにした。とはいえ、irregardless については「原書の日本語ではどうだったんだ?」が非常に気になったので、その箇所だけ比較:
“If I had it I’d have got off the train at Omiya. There’d be absolutely no reason for me to get in touch with you. I’m reaching out to you irregardless of how dangerous it is, because I don’t have any other options.’‘My father told me something before he died.’ Tangerine’s voice is cold and cautious, the exact opposite of Lemon’s easy-going delivery. He sounds like the wary type who carefully weighs each and every decision. ‘He said never trust authors who overuse sentence fragments or conversationalists who use the word irregardless.' P.442「トランクを持っているなら、さっきの大宮駅でとっくに降りています。俺が、君たちに接触して、こうして危ないにもかかわらず話をしているメリットなんてないですよ。そんなのあるわけがない。手を組んだ方がいいと思うから、俺も必死なだけです」(略)「死んだ親父から言い残されたことがあるんだ。小説の中で体言止めを多用する作家と、会話の中に、『にもかかわらず』って言葉を使うような相手は信用するな、ってな。(略)P.341'What makes you say that? You have the advantage of numbers. Two against one.''Irregardless.''Hey, you just said irregardless.' P.448(略)「二つ言いたいことがある。一つ、おまえの口ぶりを聞いていると、おまえは、盛岡で決着をつける分には、勝算があると踏んでいるようだな」「そんなことないですよ。少なくとも、人数的にも不利だし。二対一だ」「二対一にもかかわらず」「あ、今、『にもかかわらず』って言いましたよね」蜜柑が小さく微笑むのが、電話越しにも分かった。(略)P.346
Wikipedia の irregardless によれば:
Irregardless is a word sometimes used in place of regardless or irrespective, which has caused controversy since the early twentieth century, though the word appeared in print as early as 1795.
"caused controversy"「物議を醸している」そうな。
Vocabulary Building Blog の解説が分かりやすい:
やっぱ面白いなぁ「言葉って」(笑)
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