2021年12月14日火曜日

AX アックス

 
AX アックス

著者:伊坂幸太郎
発行:2020年2月25日文庫版初版
  (単行本2017年7月)

新たな殺し屋「兜(カブト)」の物語。「殺し屋」ということで、伊坂作品にはお馴染みの「殺し屋」が登場して、著者の作品を発行順に読む楽しみを味わえる。

収録の物語は「AX」「BEE」「Crayon」「EXIT」「FINE」の五話から成るが、本書「解説」から、実は「Drive」「EXIT」の前に計画されてたと知る:
当時のインタビューによれば阿部和重との合作『キャプテンサンダーボルト』(2014年)と『火星に住むつもりかい?』(2015年)を発表した後で燃え尽き症候群のようになってしまい、「Drive」を続けられなくなってしまったのだという。この話を最後に持ってきて単行本化するという目論見が崩れたが、代わりに「EXIT」「FINE」の二篇で物語をしめくくるという案が浮上した。P.373

「AX」「BEE」「Crayon」の後、三年後に「EXIT」「FINE」が加えられて単行本化したそうだ。毎作、新たな物語で楽しませてくれる著者なのだが、その「産みの苦しみ」を垣間見る気がする。そして三年かけて「物語の終わらせ方」を生み出す凄さに感心する。私の仕事は作家ではないが、二年三年「仕込む」ことをやっているので、少なからず共感する点はある。

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