2022年10月14日金曜日

フーガはユーガ

 
フーガはユーガ

著者:伊坂幸太郎
発行:2021年10月15日初版
単行本:2018
年11月

次は解説にある、単行本刊行時になされた著者へのインタビュー:
「僕は家族がチームとなって敵と立ち向かう話が好きなんですが、世の中そんな家族ばかりじゃない。過酷な状況を生き抜く子たちだからこそ、突飛な能力があっていいんじゃないかと思い、辛い家族環境の主人公にしました。そのほうが二人で乗り越えていく感じが強まりますし。ただ、この能力でできることって、そんなになくて、かなり地味(笑)。そこがいいなと思っています」P.337

確かに「地味」だし、考えようによっては「面倒な能力」であり「使い勝手」も悪い。とはいえ、そんな「地味で面倒で使い勝手の悪い」能力だからこそ、「何ができのるか」を楽しみに待つ(読む)ことになる。

さらに解説から:
そういえばご本人も、この切なさや独特な余韻について、「『アヒルと鴨のコインロッカー』と似ているかもしれません。そういう意味では、原点回帰的な小説になりました」と、語っていた。P.339

言われてみれば「似ている」。「アヒルと鴨のコインロッカー」は二冊目に読んだ伊坂作品である。私にとっても「原点回帰」と思っていたのは、偶然なのだが、本作を読む前に「デビュー作からの再読」をしようと決めていた。技術書や英文本を二度三度と繰り返し読むのだが、今になって、日本の小説も「繰り返し読まねば」となっている。

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