No Rules Rules: Netflix and the Culture of Reinvention 著者:Reed Hastings, Erin Meyer 発行:2020年9月8日 |
ここ数年、会社での組織やチーム運営、そしてビジネスに関する本をずっと読み続けている:
一人の経営者の伝記からも、同様のアイデアを得ている:
Netflix については以前ブログに投稿するほど、その経営が気にはなっていた:
本書から知った Netflix の企業経営は、私が知っているどれとも似ていない。似ていないのだが、「最も分かりやすい経営」であり「究極の企業組織」とも言える。ただし、実行できる会社は、Netflix 規模の会社では、ほぼ稀だろう。Netflix が企業経営で中核にあるのは、Creativity, Inc. で知った Pixar と似てるのは、どちらも「創造が重要」な会社だからだが、Netflix は更に「先」を行っている気がする。
We’ve looked at over a dozen policies and processes that most companies have but that we don’t have at Netflix. These include:
ほとんどの会社にあって Netflix にない方針や手順:
Vacation PoliciesDecision-Making ApprovalsExpense PoliciesPerformance Improvement PlansApproval ProcessesRaise PoolsKey Performance IndicatorsManagement by ObjectiveTravel PoliciesDecision Making by CommitteeContract Sign-OffsSalary BandsPay GradesPay-Per-Performance Bonuses
「いつ・いつまで有休休暇を取るか」「意思決定手順」「経費の上限」などなどの「ルールがない」"No Rules Rules" なのだ。なぜそんなことが可能なのかは、本書を読めば納得する。ここではポイントだけを記す、大まかに次のステップを踏む:
Build up talent density.Increase candor.Reduce controls.
つまり「才能豊かな社員の密度を高め」て「社員の率直さ・素直さを高め」て「支配・管理を減らす」。本書の読了前、この Introduction の時点で「あぁ、これなら上手いこと行きそうだわ」のイメージが湧くほどに「分かりやすい」。
「Pixar と似ている」と先に書いたが、実は本書と並行で Creativity, Inc. を再読していたので余計にそう思う。例えば、Creativity, Inc.:THOUGHTS FOR MANAGING A CREATIVE CULTURE に記したのは:
Be wary of making too many rules. Rules can simplify life for managers, but they can be demeaning to the 95 percent who behave well. Don’t create rules to rein in the other 5 percent—address abuses of common sense individually. This is more work but ultimately healthier.
規則を作り過ぎることは慎重に。規則をもって管理者にとってやり易くなるが、ちゃんとしてる95%の人たちの品位を落とすことになる。残り5%の人を抑制する規制は必要ない、個々人に良識を示すこと。やることは増えるが、結局のところ健全なやり方。
本書にもPixar 本にも、"candor" が頻繁に登場するのも共通点。才能や能力のある人に「率直さ・素直さ」が備わっているとは限らない。「率直さ・素直さ」の欠如はチームワークを促進しないし、新しい創造的なアイデアを育むのを阻害する。
そもそも "Build up talent density"「能力の高い社員密度の向上」 からして難しい。とはいえ、この土台がなければ「Netflix モデル」は完成しないのも間違いない。極端に言えば「才能ある奴だけを残す」のが「Netflix モデル」なのだが、それを実行できる企業は稀だろう。
では「Netflix モデル」は参考にならないのか? そうは思わない。参考になる要素はたくさんある。例えば:
Don't seek to please your boss.
上司を喜ばそうとするな。
この表現の前にあるのが "Lead with context, not control"「支配や管理ではなく、状況に応じて進め」。この逆の例を考えると分かりやすい。つまり「支配や管理で進む」と「現場の判断より、上層部の判断が優先」される。
昨今の私と言えば...。「(現場を知らない)経営層の方針に沿って進む」という「支配と管理」が、あまりにも「常識」とされ過ぎている現状(少なくとも私の関わる企業)に愕然としている今日この頃なのだ(大泣)。
バンド活動と「会社でのチーム運営」は似ているとずっと思ってきたし、私は同じようにしかできないのだ。もっと大きな組織を運営する場合でも同じだろう。なので、次を読んだときは笑ってしまった:
A lot of little mistakes, while sometimes painful, help the organization learn quickly and are a critical part of the innovation cycle. In these situations, rules and process are no longer the best answer. A symphony isn’t what you’re going for. Leave the conductor and the sheet music behind. Build a jazz band instead.
多くの小さな間違いは、時として耐え難いが、組織が素早く学ぶには役に立ち、創造的な循環においては重要なこと。そんな状況で、規則やプロセスはもはや最良の解ではない。目指しているのは交響楽団はない。指揮者と楽譜は捨て去ろう。代わりにジャズバンドにしよう。
Jazz emphasizes individual spontaneity. The musicians know the overall structure of the song but have the freedom to improvise, riffing off one another other, creating incredible music.
ジャズ音楽は、個々人の自発性を重要視する。演奏者は演奏する音楽の全体像は知っているが、即興の自由があることで、新たなフレーズを次から次に奏でながら、素晴らしい音楽を作り上げる。
「良い音楽を奏でよう」と「良い仕事をしよう」において、私の行動指針は同じなのだ。
「仕事も人生の楽しい一部」と改めて思う。
0 件のコメント:
コメントを投稿