一瞬の夏(下巻) 著者:沢木耕太郎 発行:2017年7月5日30刷(1984年5月25日初版) |
正直、上巻ほどには楽しめなかったのは、何だかんだと韓国での試合が実現されないシーンが長く、「またかよ」という気分になった。それに、上巻ではボクシングの史実や、ボクサー自身や練習の描写が楽しめたが、本書で少なかったように思う。
しかし、これは「フィクション」ではなく「事実」なのだから仕方がない。読後にようやく、カシアス内藤のことを Wikipedia で読み、1972年の輪島功一との対戦動画を観た。読書中に想像した「カシアス内藤」とは違ったが、この物語が「事実」であることを痛感させられた。
「ノンフィクションものが好み」な私だが、本書を読んで「ノンフィクションて、何なんだろう?」との疑問を抱いた。ノンフィクションとは「事実を元にした作品」と言われるが、「事実を完全に、作品として再構成することは不可能」との現実を、この沢木耕太郎作品で思い知らされた気がした。
とはいえ、本書の「ノンフィクション性」にケチを付ける気は毛頭ない。むしろ、面白い手法だとしている。本人も「私ノンフィクション」と呼んでいる:
Wikipedia |
仕事での資料作り同様、このブログでも「デタラメ」は書きたくないのだ。ここで、私が書くのは「私ノンフィクション」であって、可能な限りの「事実」でありたいのだ。
とはいえ、本書から「ボクシングの魅力」を改めて知ったし、そして「誰かと一緒に何かを成し遂げようとする過程」に常に関わっていきたいとの思いを新たにした。それは仕事だったり、私的な事だったり。自分一人より成せることは大きいし、達成感は何倍も大きいことを知っているから。
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