2023年8月17日木曜日

たまには、時事ネタ


たまには、時事ネタ

著者:斎藤美奈子
発行:2007年1月25日再版(初版2007年1月7日)

本書の「あとがき」から:
本書は『婦人公論』の連載コラム「女のニュース 男のニュース」をまとめたものです。連載は2007年以降も続行の予定ですが、ここには2001年5月〜2006年11月の分を大幅に加筆修正のうえ収録しました。P.299

20年前の「時事ネタ」なのだが、そのすべてに何らかの記憶がある。まだ私が自宅でテレビを観ていた頃で、主に報道番組を好んで観ていた。しかし、徐々に「なんだこの報道」との疑問も抱き始めた頃でもあった。その疑問が何だったのかを「言語化」してくれてるのが本書。

著者は「時事ネタものは初めて」とのことだが、書評と同様の「愛情あるツッコミ」は相変わらずで、さらに「切れ味抜群」なのである。私がテレビを観ていた頃の、政治経済専門家?や軍事専門家?の連中なんかの見解より、斎藤美奈子の方が「まっとう」なのだ。

20年前のことだが、果たして「今」はどうだろう? その20年前とは「良く」なったのだろうか?同じ過ちを犯していないだろうか?

大して変わっていないし、「良く」もなっていないし、相変わらず「間違ってる」気がしてならない。20年は「変わるには短すぎる」のかもしれないし、日本は「急激な変化」ができる国じゃないと思ってる。とはいえ徐々には「良い方に変化」しなければならないとは思う。

さて、本書から一つだけ取り上げる。

歴史に敬意を払わない街づくりに、私は違和感バリバリだ。P.204

まったくもって同感な一文で終わるのは「過疎化する郊外、郊外化する都市」からで、2005年2月22日号に掲載されたもの。6月に長崎に帰省した際の記憶が蘇る...。

ところで、品川、丸の内、六本木、汐留など、東京はここ数年、再開発ラッシュである。商業施設だけでなく、再開発には高層マンションも増えていて、「都市回帰」という現象が観察できるのだそうだ。P.201

この頃、私は東京に住んでいた。列記された都市部には行くことはなかったが、そんな「再開発ラッシュ」や「都市回帰」は肌で感じていた。

東京に限らず、似たような現象は全国各地で起きている。どこへ行っても盛り場に昔からあった個人経営の店が減って、画一的なファミレス、居酒屋、カフェ、コンビニ、ディスカウント店、量販店、ドラッグストアなんかばかり目立つ昨今。P.203

いつからこうなったのか?

地方にツーリングに行く度に「さびれた商店街や街並み」を目にする。そして、地域ならではの店や人々に出会う機会が、減ってるのを実感している。日本で人が集まるところは、妙に「画一化」「均質化」されているのは気のせいだろうか?

しかし、そう、未来は古びるのである。いまはピカピカの再開発地区も、あと30年くらいしたら老朽化して、ガタが来るだろう。そして、今度はニュータウンがオールド化したように、摩天楼の高齢化が進む…。P.203

「新しいものは古くなる」ことと「流行は廃れる」は似ている。「新しいもの」と「流行」に共通して感じるのは「軽薄さ」だ。

本書の続編『ふたたび、時事ネタ』が今から楽しみだ。

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