春に散る(上・下) 著者:沢木耕太郎 発行:2017年1月10日初版 |
ボクシングを始めて4年の私だが、去年あたりから徐々に自分のスタイルが見えてきて、コーチから「リーチが長い」と言われたのを機に、左ジャブを徹底的に磨いた。今では「目指すスタイル」はかなり明確になった。
とはいえ、ジム以外でボクシングに関することは、ほとんどやらない。なので、ジムで得たボクシング知識を、本書を通じて再認識した。
金は出すが、口は出さないとしていた真田だったが、打たれても打たれてもただひたすら前に突進していくという、いわゆるブル・ファイトを選手たちに強いるジムの会長とどうしても意見が合わず、ついに手を引くことになった。上巻P.263
私の通うジムのコーチも同意見だろう、「ひたすら強いパンチを打ちまくるだけ」とは真逆のスタイルを教えてもらっている。
理想のボクサーを作る。それは理想のアウト・ボクサーを作るということだった。(略)ボクシングはまず相手に打たれないことが大事なのだと。打たれないでいれば、いつかチャンスがやってきて相手を倒せる。そのとき必要になるのは、スピードとタイミングだ。逆に言えば、スピードがあって、タイミングが合いさえすれば、どんなに非力なボクサーでも、相手を倒せるということだった。上巻P.264
「打たれないこと」もコーチから言われるが、実践するのは意外と難しい。未だに「ガードが下がる」に悩まされる。以前より良くはなったが、新しいコンビネーションを取り入れる度に「ガードが疎か」になる。
確かに「スピードとタイミング」はそうかもしれない。特に私のように「パンチ力」が大したことがない場合、「スピードとタイミング」を磨くしかない。
ボクサーは、相手と離れて戦うアウト・ボクシングが得意な「ボクサータイプ」と、接近しての打ち合いであるイン・ファイトが得意な「ファイタータイプ」とに分かれるが、アウト・ボクシングもイン・ファイトもできるボクサーを「ボクサー・ファイター」と呼ぶのだ。下巻P.116
私は明らかに「ボクサータイプ」なのだが、この半年は苦手な「ショートパンチ」に重点を置いてる。つまり、最終的に目指すのは「ボクサー・ファイター」。
ボクシングは「リング上のチェス」と聞いたことがある。「単なる殴り合い」と見られがちなボクシングだが、本当に強いボクサーは「頭を使う」のだ。ボクシングの勝負自体が「騙し合い」とも言えるかもしれない。コーチは「相手のバランスを崩すゲーム」と称したこともある。
大学生から何度か顔面にパンチをもらったことがある。軽く唇を切って出血したこともある。そんな「ファイト」をした後であっても、「いやぁ、良いパンチだった」と笑顔で言い合える。そんな不思議なスポーツだが、相手がいないと成り立たない。だからこそ、ボクサー同士で敬意を払うことが大切になる。
「敬意を払う」ことは他のスポーツでも同様だろうが、ボクシングでは余計に感じる。そして、他人とかかわらずには生きられない「社会生活」でも同様。
ボクシングを通じて学ぶことは多い。
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