The Queen's Gambit

The Queen's Gambit 原案：Scott Frank, Allan Scott 原作：クイーンズ・ギャンビット (The Queen's Gambit) by Walter Tevis 脚本：Scott Frank 監督：Scott Frank 公開：2020年10月23日 邦題：クイーンズ・ギャンビット

小説などの原作から映画化された作品が、原作を読んで抱いた面白さを超えたことはない。本を読みながら、自分勝手に「楽しい方」に想像できるし、原作中の詳細を限られた放送時間で表現するのは困難だからだ。

本作は「原作の面白さを超えた」と感じた、初めての作品かもしれない。

原作は原書と日本語訳を同時期に読んだため、物語を鮮明に覚えていた状態で本作を観た。予告編なども事前に見ないようにして、予備知識なしで観た。

第一話から「上手く脚色してるな」の印象をすぐに抱き、キャスティングの良さにも感心した。例えば、幼少時代の Beth と Shaibel の「映像」は、私の想像を超えていた。キャスティングで私の想像と違って、違和感があったのは Jolene と Borgov だけかもしれない。

原作の出版が1983年、約40年後の映像化。本作の成功には、映像技術の進歩もあるが、インターネットによる「ドラマ配信」の背景も大きいだろう。世界的に膨大な視聴者を獲得できるし、2, 3 時間の「通常の映画化」では、原作にある「多くの要素」を表現するのは困難。「原作のあの部分がカットされて残念」と、多くの映像化で抱く感想が、本作ではなかった。逆に原作にはない「追加」が、物語を「深め」ている。

このシーンが最も泣けた。「あの写真」と分かっていたはずが、ここまで想像を超える良い写真で、驚きと同時に涙してしまった。