2024年1月25日木曜日

(再読)重力ピエロ

 
重力ピエロ

著者:伊坂幸太郎
文庫2009年4月25日第43刷(初版:2006年7月1日)

こうやって「再読」する前には、必ず「どんな物語だったか」を思い出そうとするのだが、前回読んだのが2017年11月のためか、何も思い出せない。伊坂作品で面白くなかった経験がないので、期待を込めて再読するのだが、今回はかなり期待を上回った。読後、前回のブログ投稿を読み返すと、色々書いてることに若干照れ臭くなったが、楽しんで読んだことが思い出された。

ストーリーの大まかな筋は読みながら思い出すのだが、ディテールは忘れているので「新たな発見」的な喜びが沢山。登場人物は、相変わらず興味深い連中ばかりなのだが、特に主人公の家族は「素晴らしい」。前回読んだ時に、それほど感銘を受けた記憶はないが、主人公の父親が「素晴らしい」のだ。

春がまともに就職もせず、不安定な生活をしていることを、父はそれほど不満には思っていないようだった。「人生というのは川みたいなものだから、何をやってようと流されていくんだ」と言ったこともある。「安定とか不安定なんていうのは、大きな川の流れの中では些細なことなんだ。向かっていく方向に大差がないのなら、好きにすればいい」 P.71

あの「黒澤」も「格好良い」と評価した父なのだ:

「父の印象はどうでした?」
「格好良かった」
「病院で寝ている癌患者が、格好良いですか?」私はかなりの勇気を持って、「癌」という言葉を発音した。
「格好良かったよ」黒澤は淡々と同じ台詞を反復した
「黒澤さんにとっての『格好良い』の定義を教えてください」
「俺は定義という言葉が嫌いなんだよ。二度と使わないでくれ」P.365

ちなみに私に「格好良い」の定義があるとすれば

行動や発言が Rock かどうか

大抵の人には意味不明だろうが、気にしない、分かる人には分かります(笑)

ということで「やっぱり "Rock" だなぁ」と唸った本作は、好きな伊坂作品の上位に上昇した。

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