19分25秒 著者:引間徹(ひきまてつ) 1994年1月25日初版 |
伊坂幸太郎のエッセイで紹介された本だった気がするが、何の予備知識もなく手に取った。初めて読む著者の作品は「期待せずに気楽に読む、楽しめないようなら直ぐ止める」で臨んでいるが、本書は序盤こそ「何だこの話は?」となったが、すぐに面白くなった。
この本、Rock だな(訳:この物語はカッコ良いな)
これが素直な感想。
次は、内定済みの会社の人事担当者との会話:
「そんなことじゃない、何やったって、迷惑なんて絶対誰かにかかるんです。そんなこと考えてるからみんな何にもできなくなって、ぶくぶく肥っていくんです。僕の言ってることわかりますか?」P.113
いやぁ、Rock だね!
「他人の視線がぜんぶ上から注がれてくるんだよ。歩いてても、駅の階段で持ち上げてくれる駅員待ってても、最初から最後までずっと見下ろされつづけてる。ただのインパクトだってあんたは言った。だけど見た目にインパクトがあるからって、勝手に感激されたり、自分じゃ一滴の汗も流さない連中に期待されたくなんかない。それじゃサーカスのフリークスだよ。もっとも、オリンピックじたいが、今じゃ偉大なフリークスの祭典になりつつあるんだけどな」P.117
どんな登場人物がこれを発してるかは「ネタバレ」するようなので伏せるが、私にはかなり「グッときた」台詞。
「あなた、少し気狂ってますよ」「うん、そうだな」男は満足気にうなずいた。「俺もそう思うんだが、なかなか世間が気づいてくれない」P.120
公園でボクシングの練習を日課にしてるが、たまに子供や老人から好奇の目を向けられているのを感じる。感想めいた言葉を耳にすることがある。「ほっといてくれ」と無視するのが私のスタンス。そんな私なので、本書の登場人物たちの心情に共感するところは多い。
さて、本書で登場する「スポーツ(競技)」が何であるかは伏せるが、かなり意外で、その競技の見方が変わった。ある意味「正しい見方」ができるようになったかもしれない。
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