これは YouTube selective attention test から:
でも、ゴリラは見た?
実は、被験者への「本来」の問いは:
これが「ゴリラ」:
以下は原書で読み始めた "Thinking, Fast and Slow" から、日本語訳は私(改めて村井章子の日本語訳の素晴らしさを痛感)。
The gorilla is in view for 9 seconds. Many thousands of people have seen the video, and about half of them do not notice anything unusual.
ゴリラが動画に現れるのは9秒間。数千人がこの動画を見たが、約半数は不自然さ(ゴリラの存在)に気づかなかった。
この動画を見るまでは、もっと多くの人のパスの回数を数えるものだと想像したし、ゴリラがここまで「あからさま」とは想像していなかった。
The most dramatic demonstration was offered by Christopher Chabris and Daniel Simons in their book The Invisible Gorilla.
Christopher Chabris、Daniel Simons の共著 The Invisible Gorilla から。
これほど多くの被験者が「ゴリラに気づかなった事実」を受け入れない人もいるだろう。つまり「私はゴリラに気づく」と自信を持って言う人。先のゴリラの画像を見た後では、私も「気づく」と言えるが、見ていなかったとしたらどうだろう?多分、見落とす可能性は低くない。
The gorilla study illustrates two important facts about our minds: we can be blind to the obvious, and we are also blind to our blindness.
このゴリラの実験は、我々の考え方について二つの重要な事実を表す:我々は明確なことに気づけない場合があり、気づかないことに気づいていない場合もある。
大人になるほどに「知っているふりをする」(「知らない」と明確に言わない)人が多いのは気のせいだろうか?権威や地位の高いほど、その傾向があるのは気のせいだろうか?
それ故、分かっていない(理解していない)ことに気づかない人は、永遠に分かることはないのだろう。
以下の "Sytem 1" は「直感」と理解してよい:
System 1 has biases, however, systematic errors that it is prone to make in specified circumstances. As we shall see, it sometimes answers easier questions than the one it was asked, and it has little understanding of logic and statistics. One further limitation of System 1 is that it cannot be turned off.
システム1には先入観があり、特定の状況で陥る傾向があるシステム障害がある。これから見ていくように、システム1は時にはより簡単な質問には応えるが、論理的で統計学的な理解はほとんど持ち合わせていない。そしてシステム1の更なる限界として、システム1の動きは停止不可能なことがある。
どうしても「直感でしか動けない人」がいる。その直感が正しければ良いのだが、そうじゃない場合の方が多いのが世の中。言動や行動が「雑で配慮に欠ける」人は、システム1しか使ってないのかもしれない。
2017年3月に本書の日本語版を読んだ。こうやって、ようやく原書を読むと、新たな気づきが多い。日本語版でかなり感銘を受けたにも関わらず、原書で読み直しても新鮮な気持ちで読めている。その理由として、英文読解力が向上したこと、そして仕事柄(機械学習システムの設計&開発)を通じて
人はどう判断しているのか
人はどう見ているのか
などなどを、常日頃から考えているからだろう。
機械学習やデータ分析関連の Podcast(海外発信)を、約5年前に遡って聴いている。本書 "Thinking, Fast and Slow" を例にして話すゲストを数回聴いた。機械学習や AI の本ではないが、「人の行動はどうなっているか」を深く掘り下げる本書には、機械学習や AI にとって重要な要素があるのは間違いない。
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