2024年3月9日土曜日

クジラアタマの王様

 
クジラアタマの王様

著者:伊坂幸太郎
発行:2022年7月1日文庫初版
単行本:2019
年7月

「あとがき」より
アクションシーンを絵やコミックのようなもので表現し、それを挟み込みたい、という願望も十年ほど前からありました。P.440

奇しくも、久しぶりに漫画を読んだ直後に本書を読み始めて、その「コミックのようなもの」に戸惑った。多くの漫画は、私にとって読むと「疲れる」。「ド嬢」は若干の例外だが、それでも二冊を二日連続で読むと「疲れ」てしまった。

予想通り、本書の「コミック」が本文を読むときに「邪魔」になった。「邪魔」というか、本文の内容を「コミックで知ってしまった」イメージとの重ねづけ(関連付け)を無意識にやってしまうのだ。つまり「自由に小説のイメージを抱く」のが望みなので、そういう意味で「邪魔」と感じた。とはいえ、中盤以降は「コミックの意図」が何となく分かって、「邪魔」という感覚は薄れた。

本書の序盤、あまりにも面白すぎて、一気に読んだ。特に「広報部長」は、ステレオタイプ的な「バカな偉い人」なのだが、ビジネスで見かける一般的な「バカな行動」を象徴してるのは間違いない。同様にメディアの騒ぎ方など、10年以上日本の報道を無視してる私でも「相変わらずだなぁ」とウンザリする。

中盤ちょっと退屈に感じた理由はよく分からないが、徐々に「何かに向かってる」、夢の「オチ」はどう付けるのだろう、と興味は高まっていった。

「文庫版あとがき」より
2009年の新型インフルエンザ騒動を下敷きにしました。P.443
COVID-19 の前に書かれた本書
この小説の重要な部分はそこではありませんし、基本的には修正しないことにしました。P.443

とはいえ、前回のパンデミック(いわゆる「コロナ禍」)と本書の内容は、いやでも重なってしまう人が多いだろう。「この本、いつ書かれた?」と疑問になりながら読んだほどだ。

前回のパンデミックに対して思うことは多々あるが、このブログで書くつもりはない。言葉にするのが難しいのもあるし、他人に理解して貰おうと思わないからだ。行動で示すだけに留めてる(気の合う連中には話してはいるが...)。

ヒトは自身が思ってるほどには歴史や経験から学ばない。

Thinking, Fast and Slow を再読中だが、上記のことは「科学的」「実験的」にも明らか。それが「ヒトというもの」という受け入れ方も必要なのかもしれない。

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