2024年7月10日水曜日

逆ソクラテス

 
逆ソクラテス

著者:伊坂幸太郎
発行:2023年6月25日文庫初版
単行本:2020
年4月
「いつもの伊坂幸太郎の物語とは違う」と思ったが「面白さはいつもの伊坂幸太郎」で、あっという間に読んでしまった。5編の短編集なのだが「一編を止まらなくなり一気読み」という感じで読了。どの話も「予想を外す笑顔になる結末」が良い。

著者も述べているように:
少年や少女、子供を主人公にする小説を書くのは難しい、と思っていました。今も思ってます。子供が語り手になれば、その年齢ゆえに使える言葉や表現が減ってしまいますし、こちらにその気がなくとも子供向けの本だと思われる可能性がありますし。P.311

アニメや漫画で、特に学園ものが顕著だが、私が抱く違和感は「子供がそんな表現は使わない」し、「大人(=作者)が、架空の子供に作者の理想を言わせてるファンタジー」と思ってしまう。

伊坂幸太郎が使った「テクニック」は巻末のインタビューで読めるが、上手く機能していると思う。若干だが、自分が子供だった頃に思いを馳せながら読んだ。苦い思い出もあるが、楽しかったことは今も忘れたくない記憶としてある。

「僕はそうは思わない」

印象的で力強い言葉だ。

「先入観」や「断定口調」へ疑問を呈する言葉として発するべきだが、「発しない」「発せられない」人は少なくない。それ以前に「考えない」=「周囲に流されてる」ような人は、意外と多い気がする。

「僕はそうは思わない」

「なぜそう思わないか」の理由が明確じゃない時でさえ、少なくとも「心の中で念じてみる」のは大切なのだ、著者が言うように。

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